悪魔-メフィスト-
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っしゃるのですか!?あなたはもうじきこの国の女王となるのですよ!あなたがいなくなったら、トリステインの民たちに悪影響が及ぶだけです!ご自分に課せられた責任から逃げるというんですか!」
声を荒げるルイズだが、アンリエッタは唇をかみ締め、杖をも握って叫んだ。
「お黙りなさい!押し付けられた責任など今の私には無意味です!人と人が争い、無駄な血を流し、権力者は謀略を用いて同胞を排除し自らがのし上がる…そんな醜い者たちのご機嫌を伺うのなんて…もうたくさん!!
けど、ウェールズ様だけは…ウェールズ様だけは籠の鳥として生き続けてきた私にとっての光!!それを私から取り上げないで!」
「姫様!!馬鹿なことをおっしゃらないで!あなたは騙されているんです!」
「ルイズ、あなたこそわかって頂戴!私のお友達なら、このまま黙って行かせて!」
「ですが、あなたはもう…!!」
女王となる身だ。そう言おうとすると、アンリエッタは遮るようにルイズに言った。
「ルイズ…あなたも誰かを愛したことがあるでしょう?騙されていたとしても、それでも…本気で好きになったら何もかも忘れて着いていきたいと思うものでしょう?」
人を…異性を愛した経験。ワルドは結局憧れの存在というだけで恋でもなかったが…。いや、だとしてもやはりおかしい。どの道このまま行かせてはいけないじゃないか。
「姫さ…!!」
行くなと言おうとしたルイズに、アンリエッタは鋭くなった目でルイズを威圧する。
「これは王女としてあなたに対する最後の命令よ。道を明けなさい。ルイズ・フランソワーズ」
「そういうことだ。ミス・ヴァリエール、使い魔君。できれば君たちを殺したくは無い。愛するアンリエッタの古い友人と、その使い魔にしてアルビオンでは良き話し相手になってくれた君たちだからね。
もう一度チャンスを挙げよう。このまま背を向けて走り去りたまえ」
ここで姫を連れて行かせてはならない。アンリエッタは久しぶりに会ったあの時、王族としての苦痛な生活を嘆いていた。それについては自分も心苦しさを覚えているつもりだ。でも、二人は今のアンリエッタの行動を、このように判断せざるを得ない。
今の彼女は…醜くなるばかりのトリステイン貴族の情勢とウェールズへの愛を言い訳に、現実逃避しているだけだ、と。
「寝言は寝て言えよ。そんなのは愛でも何でもねえ。頭に血が上って訳がわからなくなっているだけだ。女と付き合った経験の無い俺にだってわかる」
サイトは、今のアンリエッタの悲しみを理解できなくも無い。だけど、だからこそだ。
だからこそ、ここで彼女を引き止めなくてはならないと決意していた。それにサイトは知っている。自分の知っているウェールズなら、愛する人の心をかき乱すような、こんな行為は決していないはずだ。
デルフを構えなおすサイトに対し、アンリエ
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