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ソードアート・オンライン 神速の人狼
圏内事件
圏内事件 ー昼寝ー
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「はぁ……」

なんか面倒な事になりそうだなと察したユーリは昼寝を諦め、帰ろうとするがこちらの存在に気がついたキリトに呼び止められる。
心底嫌そうにため息を吐くとどかっとキリトの横に腰を下ろす。

「にしても、お前とアスナが……珍しい組み合わせだな。」
「本当にそうだよ。」

隣で心底面倒くさそうにため息を吐くキリトを見届け、芝の上にゴロリと仰向けに横になる。
心地よい風が頬を撫で、思わずうつらうつら舟をこいでいると「なぁ」と隣から声がかかる。折角できた話相手をキリトはそう易々と手放す気はないらしい。

「……なんだよ。」

上体は寝転んだまま、不機嫌さを全面に押し出した視線でキリトを見据える。

「尻尾、モフらせ……」
「死ね。」

キリトの願望を即効で一蹴すると、いつの間にか実体化させていた刀に手をかけ、今にも抜刀しようとする。
今キリトやユーリ、そしてアスナ達がいる場所は『圏内』であるため、いくら斬られようと、殴打されようと不可視の障壁に阻まれ、HPバーは一ミリも減少はしない。それがここ、アインクラッドでの絶対できなルール。
だが、衝撃は別だ。威力が高ければ高いほどプレイヤーに伝わる衝撃は強さを増し、その際の感覚は例え戦闘に馴れているキリトが喰らったとしても、心地よいものではない。

なので、ユーリが本当に攻撃してくる前に手を顔の前でブンブンと全力で振って、冗談だ、とアピールする。
ユーリも元々殺る気はないのか、キリトの言葉を聞くと傍らに刀を置く。
もっともストレージに戻さないところを見るに、警戒は解く気はないようだが。

「なぁ、なんで触らしてくれないんだよ。」
「毛が乱れるから……」

「あー。」と納得したような表情をする。
確かに銀色の毛は綺麗に整えられ、艶がある。だが、本当にそれだけかとキリトが思考を巡らせていると本人から答えが得られる。

「ていうのは、建前で。
撫でられるくらいなら、いいんだけど。急に握られると」
「握られると?」

あまり乗り気では無さそうに言葉を続ける。

「スッッゴイ、変な感じがするんだよ!」
「へ、ヘェ〜……。い、いやもう握ろうとなんて思ってないぞ。」


ユーリの剣呑な視線を感じ取ったのか、ぶんぶんと首を左右に振り否定する。
話題を反らすために話しを振ろうとするとキリトのお腹から「キュルル」と腹の虫が音を奏で、思わず本人は恥ずかしそうに頬を掻く。

視界の端へ表示されている時刻を確認してみれば、14:00を記していた。
昼飯を放ったらかし、昼寝を堪能していた事を今更ながらに後悔する。そして、ちらりとユーリに気まずそうな視線を向ける。

「なぁ……ユーリ。なんか食べ物持ってないか?」
「……はぁ。」

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