圏内事件
圏内事件 ー昼寝ー
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に人がいない事を確認し、そしてユーリが深く眠っているのを再確認。
よし、と呟くと足音を潜め、念のため隠蔽まで発動させ、ゆっくりと近づく。
ターゲットまで数メートル、ピクリとユーリの肩が動く。
「ッ!」
「……ん。…………。」
「ふぅ……。寝返りかよ。」
ホッと安堵する。
よしと再び気合を入れ、めくれ上がったローブの下にある白いふさふさへと手を伸ばす。
「おっ……!」
それは思ったより柔らかで滑らか。撫でる度に指の間を通り抜ける毛の感覚が心地よい。
「……これは病みつきになりそうだな。」
時折パタパタと揺れるそれを無心で撫で続けていたキリトだが、ふと悪戯心が芽生え、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
えいっ、と軽い掛け声とともにギュッと白い犬種の尻尾を引っ掴む。
「……フギャア!?」
途端、熟睡していたはずのユーリが物凄い悲鳴とともに跳び上がる。
「てっ……めッ!」
キッと犯人を睨み付けると、ライトエフェクトが瞬き、衝撃。視界が暗転する。
◆◇◆
「……ん、うぅん?」
キリトはコツコツと足に固い物が当たる感覚で意識を覚醒させる。何故かズキズキと痛む後頭部を撫でつつ、上体を起き上がらせると腰に手を当て、『オコです。』と表情に浮かべ睨んでいる《閃光》こと血盟騎士団副団長 アスナが立っていた。
彼女曰く、『他の皆が攻略に頑張っているのに、どうしてのんびり昼寝をしているのか?』と。
「どうして……って。天気がいいから?そーいえば、ユーリはどこいったんだ?」
「え?さっき市街区の方に歩いていったのを見たけど。って、話をそらさない!」
目論見は見事看破され、余計にアスナの視線はキツくなる。そして、そればかりか、
「天気なんていつも一緒じゃない。」
などとのたまった。
昼寝愛好家でもあるキリトは少しムッとすると同時に是非このお方に昼寝の良さを体感してもらおうと考える。結果、『寝てみりゃわかる。』と言い返す。
そして、アスナはしばし逡巡したのち、俺の隣に横になり、背中を向ける形で寝転がる。
その光景を見届け、これで口煩いのに咎められずに昼寝が堪能できると思う。
再びキリトは意識を手放す。
◆◇◆
「なんだこれ……」
と、呟いたのは、ユーリ。
キリトに心地よい眠りを害され、腹を立てたユーリは制裁を加えた後に、気分転換の買い物を済ませ、再び昼寝をしようと先ほどの昼寝スポットへと戻ってきていた。
そして、先の発言は呆れ感を最大まで感情に表し、隣で眠る人物の横顔を眺める黒づくめの男、キリトとそれの隣で熟睡……否、爆睡している白を基調とした騎士服に身を包んだ女、アスナを見たからだ。
「ちょ……ユーリ!」
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