3部分:第三章
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第三章
「あれっ、鏡の僕って」
「何だ?小学校の時だな」
「そうよね。幾ら何でもこれはないわよね」
「何か鏡の僕って」
甥はその自分の姿を見詰めて素っ頓狂な声をあげるのだった。
「子供じゃない。何でかな」
「それはこっちが聞きたいよ」
「まあとにかくね」
二人はこの話は置いておいてそのうえで甥に問い返した。
「そのクラッカーは何なんだ?」
「何をしようとしたの?」
「ああ、ちょっとね」
その二人に笑いながら返すのだった。
「まあ悪戯を」
「やっぱりそうか」
「まさかって思ったけれど」
「悪気はないからね」
笑って返しはする。それと共にそのクラッカーは懐の中に戻したのだった。
「ほんの出来心だから」
「それでわし等の耳元でか」
「全く何時になっても悪戯っ子なんだから」
「いやあ、御免御免」
まさにその悪戯っ子そのままに返していた。
「それじゃあね。コーヒーだよね」
「ああ、それはな」
「あるから。飲みましょう」
甥の悪戯も防ぐことになった。そうしてである。
それから後で二人のところにまた客が来た。今度はであった。
「どうも」
証券会社の勧誘員であった。彼が来たのだ。
以前から二人に盛んに誘いをかけてきた彼がである。家にやって来たのだ。彼が家にやって来たのはこれがはじめてであった。これまでは電話やメールだけだったのだ。
その彼が来てだ。笑顔で言うのであった。
「それでなんですけれどね」
「はい、証券のことですよね」
「それで」
「我が社の株はです」
にこやかな顔で話をしてきてそのうえで。ごく自然に家の中に入って来た。
そうしてそのうえで、であった。リビングに入ろうとする。しかしここで鏡に。
「むっ!?」
「これって」
その鏡に映る姿は人のものではなかった。黒い顔をして邪な笑みを浮かべて。そのうえで翼と角を生やして全身漆黒の毛だらけのだ。悪魔がいたのである。
「ねえ、あなた」
「そうだな」
オスカルはリヴのひそひそとした言葉に頷いた。
「間違いないわね」
「そうだな、これはな」
「あれよ。この人は」
「碌でもない人だな」
これまでの友人や甥の顔を見てだ。何となく察したのだ。この鏡に映るものはだ。
それでその会社員の話はただ聞くだけにして全く受けようとはしなかった。サインもだ。そうしてやり過ごしてであった。それから後で。
その証券会社も社員もとんでもない詐欺師集団であるとわかった。彼は多くの老人を騙して資産を盗み取っていたのだ。それを生業としてきたのである。
それをテレビで知ってた。二人は驚きの声をあげた。
「ねえ、あなたやっぱり」
「ああ、あの鏡に映ったのは」
「本当の姿だったのね」
リヴはその詐欺師が捕まった
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