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鏡に映るもの
2部分:第二章
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第二章

「最近不眠症でね」
「眠れないのかい」
「しかも仕事も忙しくて」
 それもあるのだという。
「それで休めていないから」
「しかし君は」
 オスカルは彼のそのままの顔を見る。その顔は確かに疲れが見えるが普通の顔をしている。だが鏡の彼はかなりやつれて今にも倒れそうなのだ。
「その顔は普通だね」
「それでも疲れているよ」
「ふうむ、鏡に映った時にそれが見えるのかな」
「映り映えってやつかい?」
 友人もそれを言ったのだった。
「それでなのかな」
「そうなのかな、やっぱり」
「そうじゃないのかい?とにかくだね」
「うん」
「仕事も一団楽ついたしゆっくりするかな」
 彼は考える顔で述べた。
「いい薬でも頼んでね」
「そうだね。それがいいよ」
「そうしようか。それにしても」
 ここで彼はあらためて鏡に映る自分の顔を見た。するとそれは見れば見る程だった。彼自身をしても強く思わせるものがそこにあった。
「この僕は」
「凄く疲れてるね」
「いや、今にも倒れてしまいそうだよ」
 自分でも言うのであった。
「こんな顔をしていたなんてね」
「じゃあゆっくりと休むといいよ」
「そうしようか。有給休暇をたっぷりと取ってね」
 こうして彼はオスカルの家から帰るとすぐに有給休暇を取った。そうして休み疲れを癒したのである。
 そしてまたある日には。彼の甥が遊びに来た。子供の頃から悪戯好きであり今でも何かと子供じみた悪戯をしては二人を困らせている。そんな困った甥がである。
「やあやあどうもどうも」
 やたらと大袈裟に家の中に入って来た。顔もにこやかである。
「久し振り。叔父さんも叔母さんも元気かな」
「御前に会うまでは元気だったよ」
「私もよ」
 これが甥に対する二人の返事であった。
「全く。大学はどうしたんだ」
「オスロにいたんじゃないの?」
「何言ってるんだよ、今はお休みだよ」
 しかし甥は平気な顔でこう返すのだった。
「冬休みじゃないか」
「それでこっちに戻って来たのか」
「来なくてもいいのに」
 口ではこう言っても顔はにこやかである。やはり小さい頃から可愛がっている甥がわざわざ遊びに来てくれたのが嬉しいのである。
「全く。まあいい」
「リビングに来て」
 実際に何だかんだで彼を案内していく。
「コーヒーがあるからな」
「お菓子もね」
「うん、僕もね」
 お互い笑顔で話しながらリビングに向かう。その途中で、だった。
 その鏡の前に来るとであった。
「!?」
「あれっ!?」
 二人は後ろにいる甥を見るとだった。その姿は。
 何と子供の頃、小学校の頃の彼だった。その彼がにやにやしてだ。懐からあるものを取り出そうとした。それは何とクラッカーであった。
「おい、一体」
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