番外最終話『絆は終わらない』
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それなのに、無駄弾は一発もない。
体が動かなかった。
圧倒されていた。
なんで立てるんだろう。
なんでこんなに無茶をしているんだろう。
体はまだまだ元気だ。それなのに、俺の体はまるで俺の意志に反して動かない。いや、意思通りに動かないのか。もうそんなことすらもわからない。
「う、お」
そのすべてが俺の体に突き刺さっていく。
速い。
次々と刺さる。
ちらりとルフィを見た。
ははっ。
ちょっとだけ笑いそうになった。
――なんだよルフィ、お前……なんでそんなに目から汁を零して。なんでそんなに悔しそうな顔してんだよ。そんなに自分から濡れたら魚人空手陸式を次にくらったら動けなくなるぞ? 俺と最後まで一緒に戦えって言ってくれたのはお前で、船長命令だってしてくれたのに。
ルフィの拳がまだ刺さる。
……あぁ、なんでだろう。
始まりは本当にナミだけだったのに。
ナミが好きで始まった、俺の海賊生活。単純にいい奴らに見えていた。だから海賊生活に後悔なんてなかった。ナミといれるならなんでもいい、本当にそう思っていた。けど、みんなすごく楽しい奴らで、強い奴らで、何よりも良い奴らで。
いつの間にかルフィを尊敬していた。仲間を尊敬していた。
ルフィをまた見る。
ははっ。
また笑いそうになった。
――なんだよ、ルフィ。視界がぼやけてるぞ。お前泣きすぎなんだよ。お前の悔しそうな顔も、もう見えねぇじゃねぇか。だから、そんなに濡れたら魚人空手陸式に耐えられないぞ?
ルフィの拳がまだ刺さってる。
……あぁ、なんでだろう。
今はナミといたいだけじゃない。
こいつらが好きで、こいつらと一緒がよくて、こいつらと航海をし続けていたい。
俺たちの想いは一緒なのに。一緒のはずなのに。なんでこんなところで俺たちは必死に戦ってるんだろう。
ルフィをまた見てみた。
「……ぅ」
また笑いそうになって声が漏れた。
けれど、そこで気づいた。
あぁ、これは違う。
笑いをこらえた声じゃない。
なんだ、今気づいた。感情に全てを奪われすぎて、今更に自分の本当の感情に気付いた。そして、とあることにも気づいた。
ルフィを見る。
ルフィがいない。
違う。
ルフィが見えない。
「……う、う」
声が漏れた。
そうだ、泣いているのはルフィだけじゃない、俺もだ。
「……ハント……ハン、トぉ! 俺はまだ……まだあきらめてないぞ!」
かすれた声で、それなのにルフィの声が聞こえる。ルフィも涙声だ。次々と零れる涙を甚平でぬぐって、ルフィを見つめる。またすぐに視界がぼやけているのは、あぁ、やっぱり俺が泣い
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