番外35話『壁』
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ィのじいちゃんのゲンコツは逸れなかった。
剛に柔を制されたわけだ。
ゲンコツが腹に突き刺さる。
戦闘中にも関わらず、胃のもの全てを嘔吐してしまった。
その間、ルフィのじいちゃんは待っていてくれたため、戦闘を続行した。まだ、諦める気にはなれなかったからだ。
左の拳も右拳と同じような運命をたどった。ゲンコツ一発で腕が上がらなくなった。
『陸式の5千枚瓦回し蹴り』すらも通じない。簡単に弾かれた。その際、足がしびれて動かなくなった。
強い。
俺なんかじゃ足元にも及ばない。俺よりも早い動き、化け物みたいな力強さ。覇気の練度。何もかもが、圧倒的だった。認めたくはないけどきっと師匠よりも強い。
これが、俺が目指すべき壁の高さ。
ショックがないといえば嘘になる。泣きそうになるぐらい悔しい。けど、俺がまだまだ弱いということぐらいはわかってた。
目標の高さを知れただけでも収穫があったと思う。
そう思いながら、またルフィのじいちゃんが迫ってきてトドメのゲンコツを――
「――っ!」
反射的に体を起こした。
暗い。
どこだ、ここ?
周囲に目を配って、けどすぐにわかった。
窓から差し込む月明かりを頼りに視界が徐々に鮮明になってくる。
見えてくる仲間たちの様々な寝顔、寝相。聞こえてくる仲間たちの寝息。
ルフィのじいちゃんが俺を運んでくれたのか、仲間たちが俺を運んでくれたのかはわからないけど、まぁそれに関してはどっちでもいいや。ナミに後で聞いてお礼を言えるなら言っておこう。
体の痛みは……マシだ。節々が痛むし、ところどころ骨にひびが入っている箇所もあるみたいだけど、体の大事なところは至って正常に動く。ルフィのじいちゃんが加減をしてくれんだろうか。それとも俺が無意識に致命傷を受けることを守ることに成功したんだろうか。
「……」
前者よりは後者のほうがいいな、と思った。どっちかは今になってしまったらもうわからない、わざわざ聞きにいくようなことでもないし。
ふと、自分に巻かれている包帯の僅かに増えていることも、すぐにわかった。また仲間たちに心配をかけたかもしれない。そう考えると少しだけ申し訳なくなった。このまままたベッドに体を預けて目を閉じれば眠れそうだったけど、少しだけ夜風に当たりたくなってベッドからゆっくりと這い出る。
みんなを起こさないように、自分たちの室内からそっと扉を開閉して外へと出る。
「……う、ん。あれ、月が隠れてる」
丁度、月を雲が覆い隠してしまっていた。いやまあ、別にだからなんだと言われてもなんにもないんだけど。
せっかく夜風にあたるんだから、ここよりも風を感じやすいところへと行こうと思う。っていうか、それならル
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