番外35話『壁』
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れるのも事実だしよ」
「……」
結局、何が言いたかったのか。
それを明示せずに一人で言葉を締めたゾロに、即座に反応できる人間はいなかった。
とにもかくにも、麦わら一味の船旅はハントが目覚める数時間から数日はお預けを喰らうことになった。
「でも明日の朝には目が覚めてると思うぞ、ハントは」
「そっか、俺今日寝れっかなぁ」
チョッパーの診察結果に、ルフィが遠足を待ち望む子供のように興奮を見せ、その割には夜になってすぐに寝たのは流石にルフィといったところだろう。
『魚人空手陸式5千枚瓦正拳』に武装色を込めて打ち込んだ。同じく武装色が込められたゲンコツによって簡単に弾かれた。あまりの威力に俺の拳が割れたんじゃないかと思ってしまうぐらいの威力だった。腕が弾かれて、その衝撃で体ごと吹き飛ばされる。
流石に追撃は来ない。一瞬という時間の後に真価を発揮して爆発するのが魚人空手陸式だから。
俺の拳はルフィのじいちゃんにどれだけのダメージを与えたんだろうか。
慌てて態勢を立て直す。ルフィのじいちゃんを見つめて、そこで驚かされた。口から軽く血がこぼれてる。けれど、ただそれだけ。たぶん俺が与えることが出来たダメージはそれだけなんだろう。
既にルフィのじいちゃんが俺の眼前に迫っていた。慌てて後退する。俺の動きを、見聞色で既に察知していたであろうルフィのじいちゃんの拳がそこ目がけて振り下ろされた。その拳がまた異常に速い。
見聞色の覇気は便利な能力だ。だけど、それはあくまでも一定水準以下の人間相手の話でしかない。見聞色で相手を先読みされる、だったらこっちはその先読みに後出しで対応すればいい。ただそれだけの話。対応の仕方は結構ある。相手の目や体の動きで、相手の動きを予測する。圧倒的身体能力に任せて単純に速度で対応する。わざと読ませて、それに対応する。
多分悪魔の実の能力者にはその能力に応じてもっと色んな応じ方があるんだろう。見聞色の覇気が便利なことは間違いないけど、決して無敵な能力じゃない。あくまでも見聞色の覇気は戦闘においてこちらに優位をもたらしてくれる可能性の一つでしかない。
それを見聞色の覇気を覚えたての頃、師匠に教えてもらった。
だから俺も対応できる自信があったのに、ルフィのじいちゃんのゲンコツは速すぎて、しかも重すぎた。
咄嗟に『人肌掌底』で打点をずらした。見聞色で読まれていても、見聞色で俺の動きを察知してから動く、という動きでは決して間に合わない速度で動いた。だからどうにかゲンコツを捌くことに成功した……と思ったら、そんなに甘くはなかった。
柔よく剛を制す。人肌掌底はそれに近い技だ。相手の真っ直ぐな動きに対して、方向をそっと変えることでその力を逸らす。けど、ルフ
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