番外35話『壁』
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」
「え、えっと」
急に始まったゾロの真面目な話。ハントがどことなく褒められているようにすら感じたナミがなんとなく声を挟もうとして、だがゾロによってそれを目で制された。
――邪魔すんな。
そういう目をしてけん制されれば、今のゾロの会話の目的がわかっていないナミには黙るしかない。小さく頷いて、ゾロの言葉の先を促す。
「ハントは強ぇ。少なくとも、俺もお前もコックも、こいつの底がみえねぇぐらいにこいつは強ぇ。俺たちの航海でこいつがこいつにとっての本当の意味での強敵と呼べるような奴に出会ってきたとは、俺は思えねぇ。それぐらいこいつは強ぇと俺は思ってる。青キジん時はこいつだけ船に留守番でいなかったしな」
「……だから、ルフィのじいさんという明らかな強敵が出て戦いたくなった、ってことか?」
「俺たちはここに来るまでいくつもの死闘を経て強くなってきた。けどハントにはそれを実感できるような戦いがなかったのかもしれねぇ」
察したらしいサンジがハントを見つめたまま小さく言い、ゾロがそれを肯定する。
ハントはハントなりに成長を得ようとこれまでの航海を糧にしてきた。
クロコダイルやエネルの技からインスピレーションを受けて、魚人空手や魚人空手陸式に新たな技を生んできた。けれど、それは確かに単なる工夫であって本当の意味での成長というには少し心もとない。
クロコダイルはハントにとって強かった。苦戦の様相も呈していた。けれど、ハントがあの時に砂嵐を気にせずに戦っていたとしたら、きっとハントはクロコダイルの技を受けずに勝利していただろう。エネルの時も邪魔が入らなければ、きっとハントはその場で勝利を得ていた。ナミを守ろうとその身を挺さなければきっと勝っていた。
ハントの彼らとの死闘はルフィたち同様に大きな糧となっていたのか、それともなっていなかったのか。だからこそガープと戦ってみたかった。自分の成長を知りたかった。大きな糧を得たかった。
ゾロがかつて圧倒的な差がありながらも鷹の目のミホークという世界最強の剣士に挑んだ時のように、いてもたってもいられなかった。
ハントはガープを見て、そういう思いを抱いていたんじゃないだろうか?
粛々と語られる、ゾロから見たハントが抱えているだろう想い。それに、いつしか誰もが耳を傾けていた。
ハントは、一味の中では比較的落ち着いている方で、別に喧嘩好きでもない。しっかりしているように見えて、どこか抜けていて、バカなところもあり、その強さのわりにはどこか頼りない所すらもある。けれどハントはハントなりにもがいている。
「だからルフィのじいさんに決闘を仕掛けずにはいられなかった。俺はそう思う……ま、だから何だって話なんだがな。結局こいつのせいでサニー号に乗れるのが少し遅
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