暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外35話『壁』
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見ればハントの体はボロボロ。さらには意識を失っているらしく、ぴくりとも動く気配はない。

「は、ハント? なんで!」

 慌ててハントを肩に抱えるガープへと駆け寄る。そのナミの様子があまりにも焦っているソレだったためガープが「なんじゃ、聞いておらんかったか? 決闘じゃよ、決闘」と大雑把に、ナミへとハントを放り投げる。いきなり投げられたハントを、そのまま受け止めることなど出来るはずもなく、地面へと尻餅をつきながらハントの体を受け止めた。

「いったたた」

 思わず顔をしかめつつも、ナミはガープの顔を見上げて尋ねる。

「……決闘ってなんで、そんな」
「さぁのう、一昨日にいきなり言われて今日決闘したってだけじゃからのう」

 理由になど興味なさそうにあご髭をなでながら、ガープは笑顔をナミへと向けるのだが、ナミはそれでは納得できないらしく「じゃ、じゃあなんでハントの決闘なんかをっ」

 ――受けたの?

 という言外の質問を受けて、ガープはナミへと背を向けて、また笑う。

「ぶわっはっはっはっは! 面白そうじゃったからに決まっとる! 血の気が多い若僧は嫌いじゃなくてのう」
「ちょ、ちょっと!」

 ナミの引き留めようとする言葉を気にすることもなく部屋から去っていくガープの背中をなすすべなく、ナミは見送る。数秒ほどそのまま呆けていた彼女だったが、そんなのんびりとしている場合ではないと思いだし、慌てて動き出す。

「っ……ハント、これよく見たら随分とひどい怪我じゃないの。チョッパーを早く呼ばなくちゃ!」
 ハントを引きずり、ベッドへと寝かせて、ナミは慌てて走りだすのだった。



 
 ハントがガープにボロ雑巾にされた。
 その話を受けて慌てて戻ってきた麦わら一味は、固唾を呑んでチョッパーが話す言葉を待ちわびていた。

「……1、2日は安静にしてないとだめだ」
「えーーーーっ!?」

 チョッパーの診断に、一同が騒然とする。いや、正確には一同というか主にルフィだけだが。ゾロは腕を組み何かを考えるように黙り込んでいるし、サンジは単純に呆れ顔。ウソップは医師として未だに忙しくなく動き回っており、ロビンはあまり関心がなさそう。ナミは心配そうな怒っていそうな、なんとも表現の難しい顔でハントを見つめている。

「ハントならどうせすぐに動けるようになるぞ、チョッパー!」

 ――だから、眠ってるハントを背負ってすぐに行こう!

 明らかにそういう意味が込められていそうなルフィの言葉だが、チョッパーは「うーん」と首を横に振る。

「そんなにひどい状態?」

 こちらは純粋に心配そうなナミの声。

「命に別状はなさそうだから心配はいらないんだけど、一応起きてからどれぐらい動けるのか見たい
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