番外35話『壁』
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色をいつでも発動できるように力をためる。
「ふむ、やはり覇気は使えるようじゃな」
「……」
久しぶりだ。見聞色の覇気が通じない。
予想通りといえば予想通りでむしろ、面白い。
「始めてもいいか?」
「いつでもええぞ!」
返事をして、それなのに身構えることすらないガープへと、俺は本気で飛び込む。
「魚人空手陸式5千枚瓦正拳!」
牽制も、フェイントもない。全速力で。真っ直ぐに。ガープの顔面へと拳を突きだした。
「ふんっ!」
「がっ!?」
天地がひっくり返った。いつの間にか俺の顔面が地面に突き刺さっている。頭がずきずきと痛む。
なんだ? 何が起きた?
「っ!?」
一瞬だけ思考が止まって、すぐにわかった。
――殴られた。
顔面を殴りにいって、カウンターをもらってしまった。
慌てて態勢を立て直してすぐさま後退。
口から滲む血をぬぐって、また魚人空手の構えをとる。口の中が痛い。どうやら唇を切ったらしい。顔も痛い。殴られたらしい頭も痛いけど、まだ全然戦える。
「数珠掛若葉瓦正拳!」
その場で拳を振るう。
「ほぅ?」
ばれた。
ガープが即座に後退して、その瞬間に空気が爆ぜる。一瞬で範囲から逃れたその速さはやっぱり俺よりも断然ある。どういう動きをしたのか、いつの間にか俺の背後にガープがいる。
「5千枚瓦後ろ蹴り!」
背後にある顔面めがけて放った左足の蹴りは「いい反応だのう」という軽い言葉と共にゲンコツで蹴りを打ち落された。
――っ。
足がしびれる。さっき顔面を殴られたときよりも圧倒的に威力がこもってる。武装色を発動してなかったらたぶん折れてたほどの威力。
「今度はわしから行くぞ!」
足に気を取られたのは一瞬だった。その隙に頭上から降りおろされる、またゲンコツだ。なら、そのゲンコツに拳を合わせる。俺だって空手家だ。拳には少しぐらい自信がある。
「ぬぇい!」
「5千枚瓦正拳!」
ゲンコツと拳がぶつかった。
「っ!」
その威力に拳どころか腕ごと……いや、腕どころか体ごと弾き飛ばされた。完敗。いや、けど今回は俺の拳も命中した。ならばガープにもいいダメージが入って――
「――うぬっ!?」
ガープから流石に声が漏れた。
やったか? そう思って見てみるけど……膝すらついてない。
嘘だろ?
陸式の5千枚瓦正拳をまともに受けておいて膝すらついてないとか、どんな体してるんだ。
未だに痺れている左足と右拳を軽く振って、どうにか痺れをとってからまた対峙する。
なるほど、確かに格上。
けど、全然喰らいつけないほどじゃない。
これな
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