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ルドガーinD×D (改)
五十三話:教師に呼び出されると緊張するよな
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んじゃなかったのか?」


確かに、アザゼルの言うように俺は今回の審判には挑む気なんてないし、叶えたい願いも特にない。今ある幸せだけで十分過ぎるくらいだ。でも、今回の審判はヴィクトルの欲望とエゴが生み出した悲劇だ。俺とあいつは違う存在だ。でも、同時に同じ存在でもある。だから、俺には少なくともあいつを止める義務がある。それに―――


「エルの作る世界を壊させる訳にはいかない」


その為には関わらないまでも審判を確実に終わらせる必要がある。これ以上被害を増やす訳にはいかない。関わらずに審判が終わるならそれにこしたことはないけど終わりそうにないなら俺が終わらせる。俺とエル、どちらの世界も守ってみせる。そう決めたんだ。


「まあ、お前がそう言うなら俺も何も言わねえよ」

「わざわざ、聞いてくれてありがとうな」

「……だがよ、他に力を上げるあてはあるのか?」

「あるさ。とっておきのがな」


そう言って、神器(セイクリッドギア)で剣を創りだす。それを見たアザゼルがなるほどと呟く。俺はそれで納得してくれたと思ったので剣を消して、部屋から出て行く。今からなら丁度部活が始まっているぐらいだろうからオカルト研究部にでも行こうかなと考えているとアザゼルに呼び止められる。


「今は行かねえほうがいいぜ」

「どうしてだ?」

「厄介な客人が来ているみたいだぜ。大方、アーシアが目当てだろうけどな」


アザゼルにそう言われていったい誰なのかと考える。アーシアが目当てということは……もしかすると最近部長達がよく顔をしかめながら話をしているアーシアに求婚して振られたにもかかわらず。未だに諦めきれずに女々しくストーカー行為を続けているという変態―――


「ディオドラとかいう変態ストーカーか」

「お前、結構遠慮がない言い方するんだな」


少し呆れたような顔をしながら話すアザゼルだったが、その顔にそれ以外の含みがあるのを俺は見逃さなかった。





男は夢を見た。まだ、幸せは誰にでも訪れると愚かにも信じていた頃の夢を。自分が“ルドガー”であると疑いもしなかったあの時の夢を。突如として借金に追われる生活になったものの自分は幸せだった。“アイボー”である少女に頼れる仲間達。兄とは離れ離れになったがそれでも幸せだった。……あの日が来るまでは。最後の道標を得るために進入した世界。

そこで少女と引き換えに世界を救う選択をした。その時はこれが最善の選択だと思った。いや、そう信じこまなければ己の心が壊れてしまうと分かっていたのだ。己の選択が最善でも何でもなく、最悪の選択であることを心の底ではわかっていたがためにそうして目を背けていた。だが、世界は無情にも彼に真実を突きつけた―――お前の全て
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