五十三話:教師に呼び出されると緊張するよな
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ただ単に疑問に思っただけだ」
俺のふとした疑問に、アザゼルがそう言ってくるが俺は首を横に振る。俺としては黒歌と同じ時を過ごせるのなら別に種族は何でもいい。天使というのは、今から洗礼でも受けない限りはなれそうにないから確立としては低いか。それに信仰心なんて俺にはこれっぽっちもない。神に祈る暇があるなら、働いた方がいいしな。神は借金を返してはくれない。
「まあ、こうして勧めてはいるが……お前を転生させられる奴なんて殆どいねえんだけどな」
「そうなのか?」
「当たり前だろ。悪魔で言えばお前を眷属にするには最低限でも魔王クラスの力がいるだろうよ」
そう言われてみて、少し驚きを覚える。自分が弱いとは特に卑下はしていないけど、まさかそれ程とは思っていなかった。まあ、よくよく考えてみると俺って結構才能がある方なんだよな。
いつも俺の前に家事以外は完璧な兄さんが立っていたから気づかなかったな……今思うと兄さんがいなかったら俺は傲慢な性格になっていたかもしれない。もしかすると、兄さんはそんなところまで考えて俺を育ててくれていたのかもな……ありがとう、兄さん。
「それにしても、何でこんな時期に、その話を持ち掛けて来たんだ?」
「何もないなら、もっと後でも良かったんだが―――今すぐにでも力を得ないとヤバいんだろ?」
急に真面目な顔つきになったアザゼルの言葉に思わず顔をしかめる。多分、ヴィクトルの事を言っているんだろうな。そう思って顔を見ると案の定、頷いて言葉を続ける。
「お前の過去は聞かせてもらったぜ。直接お前に聞くのが礼儀だったとは思うが時間がなかったんだ、悪いな」
「いや、気にしなくていい。どうせ、話さないといけないことだったんだ。手間が省けたよ」
少し、ばつが悪そうに頭を下げるアザゼルが三勢力会談の時にコカビエルの件について全く悪びれなかった人間と同じに見えずに思わず面食らうがすぐに気にしなくていいと伝える。関係者には話さないといけないからな。特に問題はない。……そう言えば、イリナにも話さないといけないな。今度会ったら話してみるか。
「現実としてお前は十年後の自分に勝たないといけないわけだ。十年の差ってのはそう簡単に埋まるもんじゃねえ。そこで転生して少しでも力の差を埋めようってわけだ」
そう言って、俺の方をジッと見つめるアザゼル。その視線を受けて俺は目を閉じてじっくりと考える。確かにこれはいい考えだと思う。俺が強くなれる上に寿命も伸びて黒歌と一緒に生きていける。まさに、一石二鳥だな。でも―――
「これは人間に下された審判だ。だから俺は人間のままでいるさ」
―――人間として審判を受けることに意味があるんだ。
「審判には関わらない
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