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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
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せ、

どうせ───全員殺すのだ。
相手がどんな間柄の連中であろうと、男にとっては全く関係のないことだった。

未だ混乱の最中にあるターゲットへと向けて、また一歩を踏み出す。
彼らの顔に浮かぶのは一律にして、恐怖。

自分達の身に何が起こっているのか。
何故こんなことになったのか。
これから何をされるのか。
何もかもを理解できずに───ただただ男達の存在に恐怖するのみだった。

リーダーらしき棍使いの顔を見る。恐怖。
槍使いの男の顔を見る。恐怖。
もう一人の前衛であるメイス使いの顔を見る。恐怖。
シーフらしき短剣使いの顔を見る。恐怖。

そうして、最後に。ターゲットの紅一点、黒髪の少女の顔を見る。
もちろん───恐怖。

───ふ、は。はは、はははっ。く、くひ、ひひひひひははッ!!

恐怖。
恐怖。恐怖。恐怖。
恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖!

その瞬間の男を支配していたのは、かつてない感じたことのない高揚感と───快感。
これから人を殺すことが。
これから自分の手によって彼らが殺されるのだということが。
殺人という形で、己が力を誇示できるのだということが。
自分はそこらの有象無象とは違うのだということが。
どうしようもないほどの、気が狂いそうになるほどの───快感だった。

───イッツ・ショウ・タイム……ってか? ひひッ……!

これほどの快感を享受する切っ掛けを自分に与えてくれた恩人───“あのプレイヤー”の口癖を心の中で真似ながら、男はまた一歩、ターゲットへと近付いていった。


────────────


それから男は、人を殺すという行為にすっかり魅せられていった。
あの時、初めての殺人を共有した仲間とは、あれから数ヶ月が経った今でもつるんでいる。
リーダー格の女がグリーンのまま堂々と主街区に出入りし、ターゲットになりそうなパーティを適当に見繕ってくる。
時にはパーティの新規加入者としてターゲットの中に潜入し、うまい具合に人気のない場所まで誘導したところで、男を含めたオレンジプレイヤーの集団が襲い掛かる───といった手口が彼らの定番となっていた。

もちろん、張り切りすぎて《ユニオン》に目を付けられるようなヘマは犯さない。
ターゲットを殺す時は手の空いた仲間に周囲を警戒させているし、襲ったパーティは必ず全滅させるようにしていた。
更に、殺人を行ってから最低10日間はこうして圏外村に身を潜め、万が一にも足がつかないようにしている。
ほとぼりが冷めた頃にリーダー格の女が街へと舞い戻り、パーティ募集と称して堂々と次のターゲットを探す。
こうしたやり口で、男達は《ユニオン》の警戒網にかかることもなく、定期的に殺人の快感を味わうことができるのだった。
男達に狙わ
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