つぐない
とある剣士、――する
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、相手パーティを分断させることも視野に入れてある。
綿密に練られた殺害計画に死角はなく、男を含めた集団の面々は、計画が成功することを何一つ疑ってはいなかった。
だが、しかし。
実際にターゲットとして選んだパーティの中に、一人だけ攻略組クラスのプレイヤーが混ざっていたのは計算外だったといえよう。
ターゲットを選定する段階で、あのパーティの大よその戦力は把握していたつもりだったのだが、その中の一人───前衛を務めていた盾なしの片手剣士だけは、男達の手に負える相手ではなかった。
その強さ故に勘まで鋭いのか、リーダー格の女がトラップの前に誘導する所までは順調だったにも関わらず、我先にとポータルに飛び込もうとするパーティメンバーを片手で制し、あろうことか女に疑いの目を向けてきたのだった。
流石にそこまで見破られては、計画を多少変更せざるを得なかった。
女はひとまず予定通りに合図を出し、それを聞いた仲間達がターゲットのパーティを取り囲む。
そうして、そのまま四方八方から襲い掛かる───と見せかけて、思わず注意を逸らした片手剣士の隙をつき、槍使いの女が不意打ちでソードスキルを発動させた。
強烈なノックバック効果を持つ槍スキル《ファストスタッブ》。
威力こそ大したことはないものの、攻撃の出が速く、上手く決まった時のノックバック距離は約2メートルにも及ぶ。
一般的にはモンスターとの間合いを確保したい場面───スイッチを行う際などに使用されるスキルだが、これが対人において有効なスキルになるのだということを、女は“あのプレイヤー”から聞かされていた。
完全に不意を衝いた、槍の柄による強烈な打撃が相手の胴を狙う。
さしもの剣士もこれを躱しきることはできず、至近距離からの強打を受けて吹き飛ばされた彼は、そのまま背後に設置されたトラップ───強制転移ポータルの中へと姿を消した。
相手は相当腕が立つようだが、多勢に無勢だ。
転送先の密室に潜んだ大勢の仲間が一斉に襲いかかれば、こちらが事を終えるまでの時間くらいは稼げるだろう。
この時、男は通りすがりを装ったパーティの一員だった。
密室で出待ちをする奇襲部隊ではなく、こちらの班に配置された時は随分と口惜しい思いをしたものだが、ターゲットに予定外の手練れが混ざっていたお陰で、不運にも計画は軌道修正を余儀なくされ、幸運にも男は獲物にありつくことができたのだった。
こちらの意図を見破って“くれた”剣士に内心で感謝しながら、男は舌なめずりをするようにゆっくりと、残されたターゲットとの距離を詰めていく。
相手は男が4人に、女が1人。見たところ全員が高校生といったところで、案外、現実世界での仲良しグループだったりするのかもしれなかった。
───まあ、そんなことはどうでもいいか。どう
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