3部分:第三章
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女の子だった。それも最高の。
一夜明けて一緒に朝御飯を食べるけれど。ここでふと気になった。
「この朝御飯さ」
「何?」
「誰が作ってるのかな」
テーブルの向かい側に座るカーラちゃんに尋ねた。
「よかったら教えて」
「私が作ってるのだけれど」
「カーラちゃんが?」
「そうだけれど」
パンとスープに卵を焼いたもの。これだけだけれど味がかなりよかった。ミルクまであって冒険者としては滅多に食べられない御馳走だった。
「一応執事とかはいるけれどアンデッドだからお料理とかは」
「できないんだ」
「スケルトンなの」
確かにスケルトンだと料理はできそうもないなと思った。これがゴーストとかゾンビでも同じだけれどとにかくアンデッドにはそうそう料理は無理だ。
「だからお料理は私が」
「じゃあこれってカーラちゃんの手料理なんだ」
「そうなるわ」
恥ずかしそうに顔を赤くさせてこくりと頷いてきた。それから俺に尋ねてきた。
「美味しい?」
「美味しいって言ったらどうなるの?」
「それはやっぱり嬉しいわ」
実にわかりやすい返事だった。
「折角作ったんだし」
「そうだね。美味しくね」
俺もそれに応えて言った。
「美味しいものを一緒に食べると余計にね」
「気に入ってもらえたんだ」
「そうだよ。だからこれからも時々ここに来ていいかな」
道のりはかなり険しいけれどその価値はあると思った。カーラちゃんとこの料理があるのなら。それだけでここまで来る価値は充分だと思った。
「時々?」
「うん、時々」
俺はにこりと笑ってカーラちゃんに言った。何かもうこの娘が魔王だってことは完全に忘れていた。そんなことはもうどうでもよかった。
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