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ハイスクールV×D ライド29
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。だが……その僅かな力でさえ、地獄の番犬を怯ませる領域にあるのだ。

 ブラスター・ダークを握りなおし、地面を蹴ると同時にケルベロスへと肉薄する。それと同時に、

「キャン!!!」

 ケルベロスの三つの首のうちの一つ、その一つの両の眼球に一本ずつ矢が突き刺さった。四季の動きに合わせて彼にとっての最愛の相棒による援護が為されていた。
 その隙を逃さずに四季は両目を打ち抜かれた頭へと向かい、

「はぁ!」

 ブラスター・ダークの一閃によってケルベロスの中央に有る首の一つを切り落とす。

(先ずは上手く行った)

 相手の反撃が来る前に相手の体の真横へと移動する。本来なら左右どちらかの首を狙いたい所だったが、炎でも吐き出そうとしていた中央を優先的に狙ったので、左右もそれほど安全では無いだろう。体ごと四季へと向き直り前足で叩き潰そうとするケルベロスだが、それよりも早く詩乃の放った矢がケルベロスの片目に突き刺さる。

「どんなに強靭な皮膚でも、内臓だけは例外、ってな」

 ケルベロスの皮膚は強靭だ。少なくとも、並みの武器では切り裂く事は難しいだろう。……七分の一に分割されているとは言えエクスカリバー級の武器でもなければ、簡単に圧倒することは出来ないだろう。

 だが、四季の手にあるのは聖剣を超える超兵装であり、聖剣よりもランクの低い詩乃の弓でも、彼女の技量ならば動き回るケルベロス相手にでも、正確に外部に出ている内臓器官……この場合、眼球を狙い撃てる。
 同時に四季が彼女から注意を引き離すと同時に、彼女から見える位置にケルベロスの弱いであろう部分を一瞬でも向けさせている。その一瞬でも有れば打ち抜いてくれると信じているからの行動である。そして、それによってできた隙に……ケルベロスを容易く切り裂ける四季の一撃を与えている。

 四季と詩乃にとっての仲間達……二人と同じ様にフリーとして活動している者達が居れば戦い方も変わるが、後衛の詩乃と前衛の四季……それが二人の役割分担だ。
 一瞥する事無く四季はケルベロスを翻弄し、詩乃が作ってくれた隙を逃さずに剣を振るう。一瞥する事も無い、彼女は絶対に矢を外さないと言う信頼、何処にどのタイミングで動くかも手に取る様に分かる。


―今ダ―


(言われるまでも無い!)

 四季の心に響く超兵装ブラスター・ダークの声。それに対して心の中でそう返す。

「刀身開放! バーストスラッシュ!」

 巨大な光の刃を展開させ、ケルベロスを×の字を描くように切り裂く。声にならない悲鳴を上げて倒れるケルベロスを一瞥しながら、魔法陣の中に浮かぶエクスカリバーへと視線を向ける。

「一つになってる」

「っ!? 遅かったか?」

 四季と詩乃、二人の視線の先に有るのは一
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