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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第九十七話 新たな魔術師の産声
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インフォースにすずかを任せる。

「予定通りアリサちゃんは着替えさせて眠ってるわ。
 熱はまだ下がってないけど容態は落ち着いているわ」

 アリサとすずかが今日、魔術回路の起動と安定を行うことは同居人の二人は知っていたし、士郎自身着替えなどが必要だろうからといくつか頼んでいたことがある。

「ああ、助かった。
 それでなにか言いたいことがあるんだろう?」

 聞きたいことがあるのだろう。
 静かに士郎を見つめるプレシアに改めて向き合う。

「貴方が無意味にこんなことをするなんて思っていないわ。
 だからこれは最終的な確認よ。
 あの行為は必要なことなの?」
「そうだ。
 あれが魔術師の最初の一歩だ」

 静かにそして、明確な答え。

 その答えにプレシアは目を伏せる。

 魔術回路を起動しただけで数時間に及ぶ激痛。
 あまりに魔導とはかけ離れたモノ

「貴方はどれぐらい苦しんだの?」
「どれぐらいなんだろうな。
 師となる爺さんが死んでまともな知識も無く八年間、死に掛けながら繰り返してきた。
 どれだけ死に掛けたか、激痛にのた打ち回ったかなんてわからない」

 自分自身に苦笑するような士郎の言葉にプレシアの拳が握り締められる。

「ソレが魔術師なの?」
「いや、俺が八年間も死に掛けたのは師も無く未熟な俺自身の責任だ。
 通常ではまずない。
 まあ、魔術を教えることを嫌っていたというのもあるだろうがな。
 だが俺は本当の意味でアリサとすずかを魔術師にするつもりは無い」

 士郎の言葉にプレシアの目が見開かれる。

「それはどういう意味?
 アレだけの苦痛に耐えた二人に魔術を教えないとでも言うつもり?」

 責めるようなプレシアの視線に、母親だなとわずかに笑い、士郎は首を横に振る。

「本来、魔術師が始めに行うことは魔術回路の安定でも、魔力を使う技術でもない。
 自他を問わず、死を容認するという心構えを持つことだ」
「……死を容認する?
 それが魔術師の最初の一歩だというの!
 そんなものはアリサちゃんもすずかちゃんも」
「ああ、彼女達はそんなことを望んでいない。
 至るために誰かの命が失われることなどを容認できないし、させない。
 だから俺は自身に降りかかる刃から自身を守るために、心に秘めた思いを、覚悟を後悔したないために教える。
 魔術こそ使うが、その有り様は魔導師だよ」

 話は終わりだとプレシアの横を通り過ぎ、上へと向かう士郎。

「ここからは二人の熱が下がるまで看病だ。
 すまないが頼むぞ」
「……ええ、交代の時間になったら呼ぶから少し休みなさい」

 一瞬、士郎に対して貴方も魔術を使う魔導師になるのか問いかけようとしたプレシアだ
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