第二百五話 支城攻略その三
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「それがしも嘘は言いませぬ」
「では」
「どうされますか」
「殿にこのことをお伝えします」
丹羽が言ったそのことをというのだ。
「そのうえで」
「返事を頂けますか」
「今日のうちに」
そうするとだ、使者も答えた。
「そうさせて頂きます」
「かしこまりました、それでは」
「すぐにまたここに来ます」
「さすれば」
こうしてだった、使者は一旦城の中に戻りだ。そのうえで丹羽達に降ることを告げた。こうして城は一兵も損なうことなく陥ちた。
北条の城は次から次にこうして陥ちていった、織田の者達はまさに一戦も交えることなく城を手に入れていっていた。
だが韮山城だけはだ、囲んでもだった。
降らなかった、しかも。
城の中から一戦も辞さずと言って来る、それを受けてだった。
城を囲む兵を率いる荒木はだ、こう言うのだった。
「ふむ、ここは」
「どうされますか」
「ここは」
高山と小西が荒木に問うた。
「城を攻めますか」
「そうされますか」
「いや、殿が仰るにはじゃ」
荒木は二人に言うのだった。
「この城はこれでよいとな」
「攻めてはならぬと」
「殿はそう言われていますか」
「わしにそう言われた」
そうだというのだ。
「それよりもな」
「囲んだままで」
「そのうえで」
「間もなくここに徳川殿が来られるとのことじゃ」
家康がというのだ。
「あの方の軍がな」
「では我等は」
「徳川殿の軍が来られれば」
「その時は一体」
「どうすればよいと」
「近くの城攻めに移ってじゃ」
そのうえで、というのだ。
「そこを降せとな」
「それが、ですか」
「殿のお考えですか」
「わしに直接言われた」
他ならぬ信長自身が、というのだ。
「だからじゃ」
「実際にですか」
「我等は攻めず」
「そして徳川殿の軍勢と交代し」
「別の城を攻めますか」
「そうなっておる、ではな」
このまま、というのだ。
「我等はじゃ」
「その様に」
「徳川殿にお任せして」
「そして、ですな」
「他の城を」
「攻め落とすとしよう」
こう話してだ、そしてだった。
荒木達は今は城を攻めず徳川の軍勢を待った、すると二日後その徳川の黄色い軍勢が来た。その彼等はというと。
「おお、酒井殿」
「貴殿が来られたのですか」
高山と小西は酒井を迎えて言った。
「どなたかと思いましたが」
「貴殿でしたか」
「はい、この城はお任せ下さい」
酒井は微笑んで二人に答えた。
「荒木殿にもお伝え下さい」
「他の城に向かい」
「その城をですか」
「戦ってくだされと」
その様に、というのだ。
「お願いします」
「いやいや、それには及びませぬ」
ここで荒木も出て来てだった、酒
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