暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第二百五話 支城攻略その一

[8]前話 [2]次話
                  第二百五話  支城攻略
 信長は柴田達主な家臣の殆どを小田原から離し北条家の各支城攻略へと向かわせた。彼等は北条のそれぞれの城に向かっていた。
 それは丹羽もだ、それぞれ信長に付けられた与力達を率いて信長に攻め落とせと命じられた城に軍勢を率いて向かっていた。与力は管屋と堀尾だった。
 その丹羽にだ、管屋はこう問うた。
「まずは城を囲みですな」
「うむ、そのうえでな」
 丹羽もその管屋に応える。
「そうしてな」
「降る様に促すのですな」
「そうじゃ、それで何度も降る様に言ってな」
「それで従わなければ」
「兵糧攻めにする」
 これが丹羽の考えだった。
「それでよいな」
「はい、攻めるよりはです」
「囲んでじゃ」
「そうして逃げられぬことを教えてから」
「そのうえでじゃ」
 丹羽は管屋に話していく。
「徐々にな」
「守っても仕方ないということを教えるのじゃ」
「戦って攻め落とすよりは」
「その方が楽じゃ。その際はな」
「流言ですな」
 今度は堀尾が言ってきた。
「それを流して」
「そうじゃ、相手を惑わす」
 城の中の者達をというのだ。
「そうしてじゃ」
「あらためて降す様に言い」
「そうしていってな」
「徐々にですな」
「相手を追い詰めていくのじゃ」
「ですか、力攻めはしませぬな」
「そういうことじゃ、殿は北条を滅ぼすよりもな」
 丹羽は信長自身から聞いていた、そのことを。
「降してじゃ」
「その力を全て取り込む」
「関東そのものをな」
「だからですな」
「既に小さな城、砦の幾つかが戦わずに降っておる」
 このことは既に丹羽の耳にも入っている、そのことも彼にとって非常に大きなしかも有り難いことであるのだ。
「だからな」
「我等もですな」
「そうじゃ、攻めるよりはじゃ」
「囲みそのうえで」
「降る様に言えばよい」
 丹羽は落ち着いて言う、そしてだった。
 実際に信長から陥とす様に命じられた城まで行きその城を囲んだ、そのうえで城中の者達に対して文を送った、その文にはだ。
「北条氏康の命も保障し」
「北条家自体もですな」
「潰すことはない」
「そして城中のどの者の命も奪わぬと」
「そう書かれていますな」
「うむ」
 その通りだとだ、丹羽は答えた。
「殿が仰ったままの条件じゃ」
「これに従わねば」
「その時はですな」
「あえて書かぬ」
 そこは、というのだ。
「それは何故かわかるな」
「はい、城を囲んでいますから」
「もう言うまでもありませぬな」
 管屋も堀尾も納得して頷いて答える。
「最早」
「そこまでは」
「そういうことじゃ」
 だからだというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ