暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外33話『バスターコールバスター』
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れ出す。

「なんだ!? 何が起こった!?」
「こ、航行不能! 沈むぞ!」
「ばかな、軍艦だぞ! 一撃受けただけだろう! 沈むものか!」
「い、いかん! 全員脱出しろ! いいか脱出しろ! 能力者は誰かに背負ってもらえ! 急げ! 爆発するぞ!」

 それぞれの軍艦に開いた穴が大きすぎてどうにもならずに、徐々に沈みゆく。航行も不能になっているせいか、各艦が傾き、ぶつかり合い、その衝撃で爆発が起こり、また誘爆。その連鎖。

「退避! 退避〜〜!」

 司令官、おそらくは中将だろう。それが必死になって叫び、軍艦からは人が慌てて逃げていく。

「何が……起きてる?」
「……大丈夫か?」

 ガレーラカンパニーの職長、パウリーが呟いた言葉に返ってきたのは、海から現れた人物。海から現れたにも関わらず、体中を真っ赤に染めて、青白い顔で、まるで幽霊のごとく無色の表情だ。

「あ、あんた……海坊主のハント!」
「あぁ……えっと、フランキー一家の、昨日の昼に襲ってきた奴だよな、あんた」
「おお、覚えていてくれたか! あん時はすまなかった! 今はあんたたちと一緒に戦わせてもらってる! 俺はザンバイだ……さっきのはあんたが?」

「……」

 無言で頷き、小さく微笑むハントに、ザンバイが「すげぇ」と呟くが、ハントはそれには反応せずに首を傾げる。

「ルフィたちとは反対方向だけど……脱出手段はあるのか?」
「ああ、ある!」
「そう……ん」

 ハントの問いに、続けてザンバイが答えたのだが、ハントの動きがそこで止まる。

「どうした?」

 これはパウリー問いだ。
 それにハントは答えずに低い声で「魚人空手陸式」と呟き、身構えた。

「お、おい?」

 どうした? とパウリーが口を開く寸前にハントがくるりと振り向きざまに、また呟いた。

「5千枚瓦後ろ回し蹴り」
「がっ……ふぐっ!」

 長い帽子の男。
 おそらくはこれが中将だろうか。
 いつの間にかハントの背後にまで迫っていたそれの2本の剣先がハントの頬へと深く刺さり、だが次の瞬間にはハントの蹴りがその中将らしき男の顔面をとらえていた。面白いように吹き飛び、そしてそこからまた新たな衝撃が爆発し、天高く舞い上がり、海へと降下する。

「……中将はあと4人で……軍艦は6隻か」

 ハントの尋常じゃなく乱れる呼吸に「お、おい大丈夫か」とパウリーが声をかけるが、ハントはそれを手で制する。

「もうすぐ、うじゃうじゃと海兵が陸地に上がってくる…………から……さっさと行った方がいいと思うけど」
「おい、お前も……その怪我だぞ、一緒に来い!」

 パウリーに対して、ハントは笑う。

「俺は麦わら一味だから、いい……それじゃあ」

 
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