番外32話『銃殺刑』
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俺の現在の状況はかなり、っていうか随分とやばい。
何がやばいかというと目の前に並ぶ銃口の数。あ、これが無数にあるって奴か、なんて他人事のように思ってしまうほどにたくさんの銃口が並んでいる。
「ちょっとまずくね?」
なんてことを思ってたら目の前にスパンダムが現れた。
「随分といい眺めじゃねぇか! 海坊主!」
「……えっと、じゃあ俺と代わっても」
「お、いいのか? それは嬉しい……ってなるわけねぇだろ! バカか!」
「あ、やっぱり?」
肩を落とす俺に、スパンダムは凄まじく嫌な笑みを浮かべてくる。
「ニコ・ロビンに絶望させるためにも貴様には一役買ってもらうぞ」
「……絶望させる?」
「ああ、だが安心しろ。今日の俺は機嫌がいいんだ。一思いにスパッとやってやる。さぁ、構え!」
銃口に手がかかるのが見えた。
まずい。さすがにあの数の銃弾を喰らったら俺でも死ぬかもしれない。
――やれることを……やるしかない。
俺はまだ死ぬわけにはいかない。
ロビンのためにしてやれることが、俺にしかできないことがある。
「っ」
体を丸めて、できるだけ当たる面積を減らす。歯を食いしばって、その瞬間に備える。あれだけの数の銃口で、きっと銃弾もくさるほど飛んでくる。となると、全身を武装色で固めたら銃弾に突破されるかもしれない。固めていいのは急所だけ、じゃないと守り切れない気がする。
数百発か? 数千発か?
数千発は流石に言いすぎか。まぁ百発以上は本当に飛んできそうだけど……いや、どっちにしても普通の人間を殺すには完全にやりすぎだろ、これは。
じゃあ、つまり。やることは一つだ。
「撃てぃっ!」
スパンダムの声を皮切りに、急所だけは守れるように武装色を全開にした。
「漁師さん!?」
ロビンの声が銃口の隙間から聞こえた。
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