つぐない
とある鍛冶師、盗み聞く
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含めた攻略組の“死”への感覚は、ゆっくりと……しかし確実に麻痺しつつあった。
となると、ユノの友人で自分の知らない人物───あの裏通りで出会うより以前からの友人か、もしくは最近親しくなった者ということになるのだが、先の通り、ユノの交友関係はさして広くはない。
その少ない友人についても、ほとんどがリリアのフレンドリストにも登録済みであり、今や共通の友人となっている。それ以外の者がいるといえば、あの黒ずくめの少年と、第1層のボス攻略戦で臨時パーティを組んだという少女くらいのものだろう。
しかし、前者は依然として行方が知れず、後者は最近結成された精鋭ギルドの副団長だ。
少年はともかく、攻略組に所属するギルドの副団長がPKされたとなれば、もっと騒がれていてもおかしくはない。
このことから考えて、以前からの友人という線は薄いとみていいだろう。
つまり被害に遭ったと思われるのは、ユノとそれなりに親しく、かつ、リリアよりも後に知り合った人物。
心当たりがあるとすれば───
───さっき、サチとか言ってたな。やっぱ、あのお茶会とやらか……?
まだ知り合って間もない頃、ユノはチャクラムを扱うのに必須となる《体術》スキルを習得する為、シェイリともども第2層の修行クエストを受けに行っていたことがあった。
その帰り際、アクティブモンスターに襲われていた少女を助けたのだが、その少女に妙に懐かれてしまい、それからは週に一度、お茶会と称して『はじまりの街』で会うことが恒例となっていた。
最近では少女の友人も加わり、一時間という短い時間ながらも、日々攻略に追われる生活を送っていたユノにとって、攻略組と無縁な彼女達との交流は、一服の清涼剤のような役割を果たしているようだった。
近頃のユノが人付き合いに対していくらか前向きになったように感じるのも、自分やシェイリ以外に、他愛のない話のできる友人が増えたお陰なのだろうと思っていたのだが───
「……オイオイ、まさか本当にPKされたってのか? 冗談じゃねぇぞ……」
自分の予想が外れていて欲しいという思いとは裏腹に、きっとそうに違いないという、確信めいたものが浮かんでくるのを感じた。
直接面識があるわけではないが、ユノとの会話で何度か名前が挙がったこともあり、サチという名には聞き覚えがあった。
二人いるうちのどちらかまではわからないが、ユノを慕っていた少女のどちらかが襲われたのだとすれば、いくら人の死を見慣れているユノといえど───否、むしろユノの性格だからこそ、ここまで思い詰めても不思議ではない。
少女の所属するパーティに生き残りがいたのか、あるいは《生命の碑》に刻まれた死因が不自然なものだったのか。
どちらにせよ、ただモンスターにやられてしまっただけというわけではあるまい。
今更《
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