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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とある鍛冶師、盗み聞く
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ユノが《投刃》として名乗りを上げ、彼らの敵意を自分へと向けさせなければ、他の元βテスターに対して危害が加えられていた可能性すらあったのだから。

むしろ過去と現在のSAOを混同し、“ゲームとして”人を殺したことがあるというだけのユノを、“本物の殺人鬼”として見做した彼らにこそ非があるのではないか。
あの場には大人だっていただろうに、自分達よりも年下であるはずのユノに責任を押し付け、寄って集って人殺し呼ばわりをした彼らの行動こそ非難されるべきなのではないか───

ユノとフレンド登録を交わし、定期的にパーティを組むようになった今、あの投剣使いの人となりは多少なりとも理解しているつもりだ。
過去がどうであれ、今のユノは望んで人殺しをするような人間ではない。
むしろ、あの裏通りでユノと話した段階で、攻略組の語っていた話こそが眉唾なのだとさえ疑っていた。

でなければ、「ユノ」という名前を聞いた瞬間、脱兎の如く逃げ出していたことだろう。
人を殺せるようなタイプではないと判断したからこそ、素材集めに同行しろなどと言うことができたのだ。
「鴨が葱を背負ってくる」という諺があるが、自分から鴨になるつもりなど毛頭ない。わざわざ殺人鬼と分かっている者を伴って圏外に出る程、彼は無謀でも愚かでもなかった。

後にユノ本人から《投刃》であることを聞かされたが、ダンジョンに行く為にパーティを組んだ時点でとっくに名前は割れており、何を今更、というのが率直な感想だった。
《投刃》が噂通りの殺人鬼であったなら、彼を殺す機会はいくらでもあったはずだ。そうしなかったということは、要するに、そういうことだったのだろう。
その時点で、リリアはこの投剣使いが人殺しのPKなどではないことを確信していた。

ユノが一世一代の告白でもするかのような雰囲気でフレンド登録を申し出てきた時は、思わず噴き出しそうになってしまったほどだった。
名前と外見との不一致から人目を避け続けてきた自分と、自身の過去を引け目に感じ、人から避けられるのが当たり前だと思っていたユノ。
自分とこいつは似た者同士なのだと、親近感すら抱いていた。

だからこそ、何も気にせず堂々と振る舞っていればいい、とリリアは思う。
攻略組の連中から何を思われようと、少なくとも彼と、あの幼い少女だけは、そんな理由でユノを見限るなんてことはないのだから。
そう思う───のだが。

「……それで自分が追い詰められてりゃ世話ねぇんだよ、アホが」
少女に頭を撫でられながら嗚咽を漏らしていたユノの姿を思い出し、吐き捨てるように呟く。

あの第1層の事件は徐々に風化し、人々から《投刃》の記憶は薄れてきている。
今のSAOで実際にPKを行ったならともかく、人を殺す“かもしれない”というだけでは、自分が被害にで
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