番外編036話 if 真・恋姫無双編 06話
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
声。
その声に華雄は息を呑み、周囲を見回し……やがて不承不承と手に持っていた巨大な斧、金剛爆斧を天に向けて掲げ、叫ぶ。
「一端退く! 呉軍と共に行動せよ!」
その言葉と共に引き上げ、同時にそれを契機にしたのだろう。黄巾党の方でも引き上げていく。
あくまでもこの一戦は向こうの出方を見る為のものである以上、追撃は行わずに他の部隊もあっさりと退く。
……唯一、夏侯惇の部隊のみは追撃を行おうとしていたが、協力関係にある関羽に止められ、渋々ながら引き上げていた。
「その、華雄さんを助けて下さってありがとうございます」
そう告げ、ペコリと頭を下げる少女。
一見すると気弱で優しそうな少女にしか見えず、アクセルは本気で目の前にいるこの少女が董卓なのかと、首を傾げる。
黄巾党との最初の一戦を終え、それぞれが自軍に戻ったところで官軍の使いに呼び出され、祭とアクセルがやって来た場所にいたのが、目の前にいる少女。その名乗りを信じれば董卓だった。
董卓というのがどのような人物なのかは、三國志に詳しくないアクセルでも知っていた。
勿論詳細に全てを知っている訳ではないが、悪逆非道の武将だという事くらいは知っている。
その董卓の正体が目の前にいる気弱そうな人物。
あるいは自分の三國志の知識が間違っているのか? とアクセルが思ってしまうのはしょうがないだろう。
「いやいや、主力である官軍に倒れられてはこちらも困る。それならこちらで救助を送った方がいいでしょうからな」
「へぅ……ありがとうございます」
祭の言葉にペコリ、と頭を下げた董卓だったが、そこで天幕の中に飛び込んでくる人影が1つ。
「ちょっと月! あんたが表に出てきちゃ駄目じゃない! ただでさえ恋も霞も今はいないんだから……」
「へぅ……でも、詠ちゃん。華雄さんを助けてくれたんだからお礼は言わないと」
「いいのよ、そういうのは僕がやっておくから。……悪いわね、あんた達。今回の件の礼は後でするから、今日は帰ってくれないかしら?」
そう告げてくる賈クに、祭にしてもアクセルにしてもこれ以上はここにいても邪魔になるだけだと知り、天幕を出て行く。
背後で董卓を叱りつける賈クの声を聞きながら。
「何だか、色々とありそうな奴等じゃったな」
自分達の天幕へと戻る途中で、祭が呟く。
「ああ」
それに頷いたアクセルだったが、すぐに首を振る。
「いや、色々とあるのは俺達もらしいな」
「む?」
その言葉に、アクセルの視線の先を追う祭。
視線の先にいたのは、数人の人影。
関羽に桃香と呼ばれていた少女、そして白い学生服を着た男だった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ