第31話 開けてはならない背中のチャック
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‥‥」
息も非常に荒く、危険な状態だった。
ホークアイが俺の近くに寄って来た。
「俺は医者じゃないからこれは予想だが‥‥‥‥」
そう言いながら、彼は俺の腹に触れた。
「この傷に少なからず原因があると思う」
俺の未だ癒えずに紫色のままの腹部が
この症状の原因だろうと彼は予想したのだ。
「あれから数日経つのに、圧倒的な再生力を持つ″鎧人″のジェーンが
あの“スペック”って奴にやられた傷が治る兆候が見えない」
それを聞いたアスラはつぶやいた。
「それが“スペック”の″超技術″なのか‥‥‥!?」
「いいや」
ホークアイは首を横に振った。
「今までジェーンと“スペック”は何度か戦ってきたはずだ。
あの時の戦いでの口ぶりからそう予想できる。
傷が治らなくなる″超技術″なら、おそらく今日までもたなかったはずだ。
数か所もこんな傷が残っていたら、さすがの″鎧人″でも死んでしまう」
彼の予想に迅はうなずいた。
「オレもその案は間違っていないと思う。
だが、根本的な原因が分からなければ、オレ達は治療もできないぞ?」
ホークアイはさっき雨水を拭きとったタオルで
俺の額の汗を拭きとった。
「とりあえず、身体を冷やしてみよう。
こんな高熱じゃジェーンが苦しいだろうからな」
念の為にと容器に大量に貯めておいた
先程の嵐の雨水が功を奏した。
タオルを水で濡らし、リオさんの″超技術″で
温度を下げ、それで俺の体を冷やした。
「体を冷やしすぎず、温めすぎずに、ちょうどいい体温を
保ち続ければ、多少は再生の助けになるはずだ」
しばらくの間、交代で彼女の身体を冷やしてあげていると
今度は寒そうに震え始めたので毛布を掛けてあげた。
そんな感じで適温を保っていると、だいぶ落ち着いたらしく
呼吸は安定し、俺は寝息をたてて眠っていた。
「‥‥ったく、こっちは面倒見て疲れてんのによぉ」
ホークアイは吐き捨てるように言った。
だが、顔はそこまで嫌そうではなかった。
「そろそろオレ達も休むか」
迅はそう提案した。
すると、確認の為に外に出ていたリオさんが
その意見に賛成しながら入って来た。
「いいんじゃないか?嵐も完全に過ぎ去って雨も止んで
太陽まで顔を出したし、ジェーンもだいぶ落ち着いたみたいだからな」
迅とリオさんは簡易テントの柱を外していき
アスラとマリーは氷でくっついたシートを
分解して折りたたんでいった。
ホークアイはしばらく俺の容体を診ていたが
テントを畳んでいる間、特に何の変化もなかった。
そして、地面に敷いたシートを残して
完全に簡易テントは解体された。
「毛布は一枚で大丈夫かな
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