第31話 開けてはならない背中のチャック
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うかされたことで
さっきまでは頭の中が霧に包まれていたかのような
不思議な感じだったが、今は意識がハッキリしているようだ。
「さて、ここで本題だ」
村長は急に真剣な表情になった。
そして、彼の口からこのような言葉が放たれた。
「実は君に最悪の未来が待ち構えている」
俺はポカンとした。突然に未来の話をされたのだから当然である。
元々、よくわからない存在である村長の口から
更に不確定である未来の話をされたのだ。当然だろう。
「信じられないかもしれないが、信じてくれ」
俺にはその言葉が理解しがたかった。
信じられないものを信じるなんて普通出来るわけがないのに。
俺はまず頭に浮かんだ事を質問してみた。
「夢の中の村長さんが何であたしの未来を知ってるの?」
「!!‥‥うっ‥‥‥‥」
そう訊くと村長は少し苦しそうな顔をした。
そして、世界がグニャグニャに歪み始めた。
「くっ、早くも意識が‥‥‥覚醒を始めたか‥‥‥
君は‥‥意外と‥‥現実思考‥‥なのかい‥‥‥?」
村長は頭を片手で押さえながら、こうつぶやいた。
彼の口ぶりから察するに、俺が目覚めつつあるらしい。
それ故に虚構の空間であるこの場所の消滅が近づいているようだ。
「時間が‥‥‥ない‥‥‥これだけは‥‥覚えて‥‥おいてくれ」
村長は弱々しい声で最後にこう言った。
「外に‥‥出ては‥‥いけない‥‥‥外に‥‥出た‥‥‥瞬間‥‥から‥‥
最悪の‥‥未来が‥‥始ま‥‥って‥‥しま‥‥う‥‥ん‥‥だ‥‥‥‥‥」
ブツンッ!!
電気を切るかのように世界が闇に包まれた瞬間
俺は目を覚ました。ゆっくりと身体を起こすと
いつも見ている普通の景色が広がっていた。
「あれは‥‥‥夢‥‥‥だったんだよね?」
俺は誰にというわけでもなく訊いた。
しかし、誰もいない部屋からは何も帰ってこなかった。
**********
「そんな夢みたいなことがあったのか‥‥‥」
アスラがそうつぶやいたので
俺は修正を加えるようにして言った。
「夢みたいじゃなくて‥‥‥夢だよ」
「あ、そうか」
アスラは少し頭をかいた。
その近くでリオさんがうずうずした様子で訊いて来た。
「それで、続きはどうなったんだ?」
そのことだが、少し待ってほしい。
そう言おうと思ったが、身体が言うことをきかなかった。
バタッ!
「ジェ、ジェーンッ!?」
突然の事にアスラは声を上げた。
俺は意識を失って、横に倒れてしまったのだ。
顔は真っ赤になっていて、いかにも苦しそうな表情をしていた。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ‥‥
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