第31話 開けてはならない背中のチャック
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いるだろ。
いくら俺が男っぽいからってそう思うのは悪い事なのだろうか。
特に恥ずかしい事でもないのに顔が赤くなるのが分かった。
「んーん、全然。私もかわいい物大好きだもん♪あ、そうだ」
マリーはそう言いながら自分のバックの中の何かを探していた。
しばらく困った顔をしていたが、急に笑顔になったので
ようやく、それを見つけたということなのだろう。
「じゃーん♪前に作ってみました!」
手の中には小さなクマの人形があった。
茶色い布と黒の糸を使った手作りだった。
頭と体の大きさが同じ、すなわち二等身だった。
「おー、上手にできてるよ、これ!」
アスラは楽しそうにそれを眺めていた。
ホークアイも少し驚いた表情をしていた。
「なかなか良いな。でもここが少し甘いな」
ホークアイの指さした部分は少し糸がほどけて
中のワタが見え隠れしていた。
「ここら辺は頑丈に縫っとかないと
すぐに糸が千切れるからなぁ」
そう言って裁縫道具を取り出して修繕していった。
何だか、歴年の主婦みたいな発言と手つきだった。
クマのぬいぐるみが縫い終わったので俺は話を再開した。
**********
まぁこんな感じに沢山の動物たちが自己紹介をしてくれた。
そして、お花畑で話をしながら花の冠を作ったり
鬼ごっこ、かくれんぼ、大きな動物に乗って冒険したりと
俺は楽しい時間を満喫していた。
まるで、今までの不幸を水に流すかのように。
「そろそろ時間だクマ」
そう言って、またクマが現れた。
「キミをここの村長に合わせなきゃいけないんだクマ」
俺はまたクマに手を引かれてどこかへと連れられて行った。
他の動物たちも着いて来てくれていた。
「ねぇ、村長ってどんな人なの?」
俺は後ろのみんなに興味本位で訊いてみた。
「オレ達も実は会ったことがないからわかんないんだゾウ」
ゾウ蔵は首を振りながらゆっくりと答えた。
「僕たちも初めて会うんだワン」
ワン太もその後ろから言った。
「そうなんだ‥‥‥‥」
全員も見たことがない謎の村長。
何かは分からないが嫌な予感がした。
直感だが、予想だが、不安が全身を支配していた。
数十分歩いてようやく村長の家に着いた。
「ここが村長の家か‥‥‥‥」
そこにあったのは木で出来た普通の家だった。
特に危険も何も感じなかった。
だがそれが、逆に俺の中の不安を掻き立てた。
「さぁ、行こうクマ」
そう言われ俺は行く前に後ろのみんなに声をかけた。
「みんなも行――――――――――」
いや、声をかけようとした。
「え‥‥‥‥誰も
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