第31話 開けてはならない背中のチャック
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俺はただ机に座って待ち続けた。
「お外で遊びたいなぁ‥‥‥‥」
この嵐の中では遊ぶこと以前の問題である。
外を出歩いている人はほとんどいない。
「早くお昼にならないかなぁ‥‥‥‥」
時計を眺めてみると時間はまだ10時ほどだった。
父が修理に出かけてから、まだ30分しか経っていなかった。
「暇だなぁ‥‥‥‥」
俺は机に突っ伏した。
そして、目をつぶった。
**********
「キミ‥‥‥ねぇ、キミ」
そう言いながら俺の肩を揺らしてくるので俺は目を開けた。
「あ、目が覚めたクマ?」
そこには熊が立っていた。
いや、熊といっても大きなぬいぐるみのような
見た目をしていて、怖さは全く感じないのだが。
「んん‥‥‥クマさん、ここは?」
身体を起こして辺りを見回した。
俺はいつの間にか草原の上に寝転んでいた。
草花のいい匂いに満ち溢れていた。
「ここはキミの夢の中だクマ」
「夢?じゃあクマさんも本当はいないの?」
熊はにっこりと笑ってうなずいた。
「ボクはキミを楽しませるためにここに生まれたんだクマ」
立ち上がってクルクル回りながら熊は言った。
すごく楽しそうに回っている。
「あ、そうだ。仲間を紹介するクマ!」
そう言って、俺の手を掴んで連れて行った。
小さな森を抜けると、そこには沢山の動物たちが
俺が来たことを歓迎してくれていた。
トテトテ
ウサギが小さい足取りで歩いて来た。
「私はウサ美。どうぞよろしくウサ」
ウサ美は笑顔で自己紹介をした。
大きくて長い耳がとても可愛らしかった。
ピョンピョン跳ねるダンスを俺に見せてくれた。
ズンズン
次はトラが楽しそうな足取りで歩いて来た。
「俺はトラ男だ。よろしくトラ!」
トラ男は元気いっぱいの自己紹介をした。
身体もスゴイが尻尾にも筋肉があるらしく
それで枝にぶら下がって全体重を支える
という技を披露してくれた。
コロコロ
次は羊が転がって来た。
「う〜〜ん‥‥あたしはメー子。よろしくメィ」
メー子は眠たそうな表情で自己紹介をした。
自慢の羊毛にうずまってみると
温かくてフワフワしてて気持ちが良かった。
こんなのにいつも包まれていたら眠くもなるだろう。
「ちょっと待て」
ホークアイは強引に俺の話を切った。
「お前、かわいい物好きだろ?」
彼にそう訊かれ、都合が悪いので俺は無視しようかと思ったが
マリーや他のみんなも注目しているので仕方なく答えた。
「す、好きだよ‥‥‥悪いか?」
大体かわいい物が好きな男だって世界中探したら
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