番外30話『一味の行方』
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「なっ」
諜報機関の人間が、思わず声を漏らしてしまうほどの光景。それは彼にとって思いもよらなかっただろう。一本の指をハントへと突き入れよう放った時にはもう既にハントの拳が彼の腹部へと到達しようとしていたのだから。
「4千枚瓦正拳」
ハントの拳が熊の仮面の男の腹へといとも簡単に突き刺さった。そのあまりの威力に彼が腰をくの字に折り、そして次の瞬間には彼の体が意志に反して震えて、もうそれに彼は耐えられなかった。
「うぐっ……ごふっ」
仮面の隙間から零れる大量の吐血、揺れる膝、そのまま地面へと倒れこむ。
腹部に拳をもらったせいか意識は刈り取られていないものの、だからこその彼にとっては生殺しだろう。苦しみ悶えて、けれど動けない状況だ。顔面を殴られて意識を刈り取られたほうがきっと色々と楽だったろう。
その光景にハントは首を傾げて言う
「あ、ごめん……なんか手加減してくれてるみたいだったから俺も結構手を抜いたんだけど……そんなに効くって思ってなかった。あ、でも手加減したし、しぶとそうだから明日には十分に動けると思う。多分だけど」
それは謝罪じゃなくて言葉による追い討ちだろう。
そう言いたくなるほどに痛烈な言葉を熊の仮面の男へという。ただ、ハントにとってその男はどうでもいいことで、意識はすぐにロビンへと。
「で、どうする? アラバスタでもロビンが俺に勝てないのはわかってると思うけど……それでも抵抗するか? ナミ以外なら相手が誰でも俺は殴れるけど、流石に女性を殴るのは好きじゃないからやめてくれたほうが嬉しいんだけど」
ハントが一歩、ロビンへと近づこうとして――
「――っと」
「……遅いと思ったらこんなところで手間取っていたのか」
背後からの拳を、ハントが受け止めた。
「誰だっ……よっ!?」
誰だよと呟こうとする前に、今度は上空からの飛ぶ斬撃。それを後退して避けて見せたハントはそれらの攻撃の正体を確認して、今度こそしっかりと呟いた。
「増えちゃったよ、なんか変なのが」
ハントの目の前にいるのは牛の仮面とドクロの仮面と、それにどこか不気味な女性を思わせる仮面の3人。
「海坊主のハントか……なるほど、やってくれる。さすがは海侠ジンベエの弟子……といいたいところだが、少し調子に乗りすぎたようだな」
先ほどの熊の仮面の男に比べてずいぶんと饒舌な牛の仮面の――声からして――男が身構え、それと同様にドクロの仮面も身構える。不気味な女性の仮面は熊の仮面を片手で持ち上げて、ロビンと共に下がろうとしている。
「……うし、やるか」
ハントはハントでそれを真っ向から受けて立つ構えだ。状況的に1対2の状況だが、それでも全くもって平然と佇むそのハン
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