番外30話『一味の行方』
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大男。
ここは水の都というだけあってどこを歩いていても大抵は水路が面しているが、ロビンと熊の仮面をかぶった男が歩いている場所もやはりそうだ。彼らの進行方向右側には小さな倉庫が並んでおり、進行方向左側には水路がある。
人の多いこの都市にしては珍しく、ここは人通りがめったにない場所なのだろう。二人以外の人影はもちろんこの近辺には誰かが生活している気配すらない。その先を行ってもやはり変わらず小さな倉庫があるだけで、それにも関わらず歩みを止めようとしない彼らにハントは首を傾げつつ、けれど一切の躊躇いなく彼らの前へと降り立った。
「な……漁師さん?」
驚きに足を止めて表情も驚きに満ちているそのロビンの珍しい姿にハントは笑いをどうにか堪えてから口を開く。
「やっと見つけたぞ……ロビン。今メリー号が結構大変なことになってるから早くかえろう」
そう言って手を差し出そうとするも、ロビンは後ろに下がり、その代わりなのか熊の仮面の男がハントとロビンの間に割って入った。
「……デートってわけじゃなさそうだよな。で、なんだアンタ?」
「……」
「無視!? 初対面は礼儀正しくしなさいって誰かに言われなかったのかあんた!? ……あ、俺も言われたことないけど」
「……」
何の話だ……という突っ込みはなく、やはり無言を貫く熊の男の代わりにロビンが言う。
「漁師さん、みんなに伝えて頂戴」
「伝える? 何を」
「私はもう……あなたたちの所へは戻らないわ」
「……は?」
本当に気楽で、どこか穏やかですらあったハントの表情が一気に凍り付く。
「えっと……ん? 聞き間違いか? なんか戻らないって――」
ハントのぎこちなく紡ぎだされる言葉を割って、ロビンは言う。
「――ええ。戻らない。私には貴方達の知らない闇がある。闇はいつか貴方達を滅ぼすわ」
「……? いやわかるように――」
「――それだけよ」
話はそれで終わりといわんばかりに、熊の仮面の男と歩き出そうとするロビンに、ハントは顔を伏せて「なんで、いきなりそんなこと言うんだ?」と言葉をぶつけて、ロビンをまるで睨むように顔をあげた。
「ロビンの隣の熊の仮面の奴と何か関係があるのか? なぁそうだよな、だって昼まではあんなに楽しそうにしてたし、チョッパーと一緒に買い物だって行ってたし……どうなんだよ?」
徐々に険しくなるハントの顔と声に、だがロビンは首を振って一言。
「貴方には関係ないわ」
「……っ」
ハントの、珍しい歯ぎしり。それを横目に、ロビンと熊の仮面の男は歩き出し、前に立ちふさがっていたハントを追い越していく。あまりにもハントという存在を歯牙にもかけないそのロビンの態度に、拳を握りしめ、振るわせて……ふと、
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