番外30話『一味の行方』
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お前が俺に! 勝てるわけねぇだろ!」
倒れて動かないウソップへと、ルフィが叫んだ。腰と膝を地面に下ろして叫ばれたその言葉に込められたルフィの思いは一体、どれほどのものなのか。ほんの短い静寂の後、ウソップに背を向けて歩き出したルフィは言う。
「メリー号は……お前の好きにしろよ。新しい船を手に入れて……この先の海へ俺たちは進む。じゃあなウソップ、今まで楽しかった」
ウソップはもう、麦わら一味と一緒の未来を迎えることはない。
ウソップを治療に行こうとするチョッパーとそれを止めるサンジの口論が響き、その間にもメリー号へと歩みを寄せたルフィが一言。
「重い」
奇しくもハントがルフィへ向けた言葉を、体を震わせながら吐き出した。そして、奇しくもゾロがハントへと向けた言葉を、ゾロは言う。
「それが船長だろ……迷うな、お前がフラフラしてやがったら俺たちは誰を信じりゃいいんだよ……船を明け渡そう。俺たちはもうこの船には戻れねぇから」
ナミもウソップも、チョッパーも、そしてルフィも。
彼らの目から零れる水は留まることを知らずに、流れていく。
さて、仲間たちがすさまじいまでの苦悩に苛まれているとは露知らず、どこか呑気に、それでいて嬉しそうにハントは一言吐きだした。
「やっと……見つけた」
――長かった、いやほんとに。
昼頃から今に至るまで、休憩をはさみつつもずっと見聞色の覇気を発動していたハントが感慨深げに空を見上げる。
サンジの言う通り、人が多くて町が込み入っていて確かにハントも苦労した。実際、ハントがロビンを見つけたのはもうとっくに太陽が沈んでいる時間。人の動きも随分と穏やかなそれになり、外を出歩く人間が減ってからだ。見聞色はあくまでも生命の声のようなものが頼りなのであって、なかなかに曖昧なそれでもある。
いくら見聞色で人の位置を大雑把に特定できるとはいっても、昼のように多すぎる人間が混在していた場合にでも特定できるほどの便利な探索機能はついていない。いや、もっと練度をあげればそうなるのかもしれないが、空島で対峙したエネルのような雷人間ならばともかく、今現在のハントには不可能な領分だ。
――探し始めた頃は太陽が出てたんだけどなぁ。
少しだけ遠い目をして、けれどやっと見つけたそれへと天井から天井へとジャンプを繰り返してそれを追いかける。
「……ロビンとあと一人は誰だ?」
本当にロビンに何かあったのか? もしかしたら海軍に捕まったのだろうか。
そんな不安がハントの胸をよぎり、ペースを上げていく。
ほどなくして、遂に見つけた。
闇夜に紛れる濃い緑のマントで身を覆い、隣には熊のようなどこか間抜けなお面をかぶった、体格的におそらくは
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