暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外29話『水の都ウォーターセブン』
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なフォローもいらねぇぐらい勝手に強くなると、ゾロに遠まわしに言われた気がした。

「そっか……わかった。もう何も言わない」
「ああ、そうしろ。話は終わりか? 俺はもう眠いんだが」
「へいへい、俺も適当にのんびりしてるよ」

 言い終わるや否や、いきなりいびきをかいて寝だしたゾロにちょっとだけ笑いそうになるけど、それを堪えてまた視線を明後日に向ける。
 俺には足りないものがある。

 ルフィやゾロ、それにサンジにもあってきっと俺には足りないものだ。
 まだまだそれを俺が得るには遠そうだけど、なんとなく、本当になんとなく。その答えに近づけた気がする。

 優しい潮風が吹いた。波は静かで天気もいい。日差しも強すぎず薄すぎず。まさに心地良い。
 今の俺たちは青海にいる。
 白い海も好きだけど、やっぱりは俺はこの青い海のほうが好きだ。
 視界にいっぱいに広がる海の濃い青と空の薄い青、それに時々流れる雲の白がなんだか嬉しい。

「あー、早く明日にならないかなー」

 ナミと色んな話をしたいと、この青空に感化された気がした。

「……ん?」

 人がせっかくいい気分浸ってたのに、いつの間にか変な奴らが船の周りにいた。

「なんか来たぞ、ゾロ」
「わかってる」
「……面倒だなぁ」

 俺のつぶやきとほぼ同時。甲板に乗り込んできた妙な奴らはなんか黒い恰好をしていて、サングラスのようなゴーグルのようなメガネをかけているのが特徴。

「誰だてめぇら」
「泣く子も黙るフランキー一家だ! 海賊狩りのゾロ、海坊主ハント! てめぇらの首、計1億2千万。ありがたく頂くぜ! そして船内で待ち伏せて一味全員一網打尽だ!」

 ゾロの半分威嚇が入った声にも彼らは気づかない。気にも留めないのではなく、あくまでも気づいていない……うーむ、弱そうだ。

「うはは、ぼろ儲けだ、ラッキー! やっちまえ!」

 本当にけっこう嬉しそうに刀で切りかかってくるフランキー一家。とりあえずブッ飛ばそうと思って前に出ようと思ったら先にゾロに前に行かれて、しかも目で「俺がやる」みたいな顔をされてしまった。ゾロの極悪顔はなかなかに極道だね。

「ラッキー? アンラッキーだろ。二刀流、犀回!」
「うぎゃあああ!」
「……よわっ!」

 全員、ゾロの突撃しながらの回転切りに一撃KO。そのまま海へと落とされた。どうやらみねうちのようで、全員生きている。ゾロは顔に似合わず優しいところがある。というかそんなことよりもフランキー一家弱すぎじゃないだろうか。

 秒殺? いや、瞬殺? どっちでもいいけどもうちょっとこう……いや流石に。

「くだらん」

 ゾロがまた目を閉じて息を吐く。
 俺ももう寝ようか。ちょっとだけそう思った。

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