1部
39話
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リーの性格上無理だ。私としては棄権を勧めたいが、あのリーが聞くわけがあるまい」
鎧の覆われていない我愛羅の両目を潰し嬲り殺す、毒煙玉を投げつけ外に出ようとする彼を全力で妨害といった手ならば勝ちの目はあるが、リーの性格上ありえない。
正道は通じず、邪道も無し。正直なところ、リーと我愛羅の相性の壁を現段階でひっくり返せる策は私の中には無い。
「ヒジリはリーが負けるって言いたいの?」
テンテンは僅かに語気を荒げて私に詰め寄った。
「私とてリーが勝つ事を願っていないわけではない。だが、嘘を言ったところで何かが変わるわけがないだろう?
私の知る限りリーの攻撃では勝ち筋が見えん、それが私の解だ。それ以上もそれ以下の言葉も私は言えん」
「……ごめん、ちょっと熱くなりすぎたみたい」
テンテンは私から離れて少し離れたところに移動した。それをネジとカンクロウは目で追った後、ネジは両目を閉じ、カンクロウは私に批難するような視線を向けた。
「さっきのはあんたが悪いじゃん」
「分かっている。これが私の悪癖だという事もな」
「……分かってんならどうにかしろよ」
「そうだな……自覚はしているさ」
そして、試合は始まった。
先生の許可により重りを外したリーは私の読み通りに盾には対応出来たが、鎧を貫く事は叶わず、蓮華を放つ事で勝負を挑んだ。
しかし、鎧の重さにより十分な高度を得られなかったリーは、無理矢理連続蹴りで高度を稼いだ結果、最後の一撃の前に抜けられ不発に終わった。
その後、裏蓮華という通常の蓮華より高い威力と反動の高速の連続攻撃を放ったが、打撃によるダメージは通れど最終段の叩きつけを砂のクッションで防御された。
そして、反動によって動けないリーはそのまま手足を砂で潰されて敗北した。リーの傷は一目見るだけで再起不能と言えるような傷の上、内部は神経に砕けた骨が突き刺さり、神経に重大な障害残すこととなった。
はっきり言って、奇跡に縋らねばどうにもならん傷だ。並みの医療忍者なら手足を切断し、義手義足に変えることを勧めるだろう。
ここからリーがどう生きるのかは彼の選択次第だが、どうか彼の心が折れぬようにと祈る他あるまい。
友人の不幸に涙も一雫でも流れればいいのだが、どうやら私にはそれすらできんようだ。思わず、私には本当に人としての心があるのか疑ってしまうが、今の私にその判断は下せそうもないな。
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