1部分:第一章
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「はい」
また電話の向こうの人の言葉に答える。
「そもそも貴方も日本語を話しておられません?考えてみれば」
「それは気にしないで下さい」
随分ととんでもない返事だった。
「そう聞こえているだけですから」
「聞こえているだけって」
「とにかくです」
彼が次に何と言っていいのかわかりかねているとまた言ってきた。
「張り紙を御覧になられたんですよね」
「ええ、そうです」
何とかまともに言葉を返すことができた。やっとだった。
「そうですけれど」
「それならですね。アルバイトのことですけれど」
「一日で百万円ですか?」
思いきり不信の声で電話の向こうの相手に尋ねた。
「本当に。百万円なんですか?嘘じゃないですよね」
「フィンランド人は嘘は言いませんよ」
どうも西部劇みたいな返事だった。はっきり言って遼太郎は信じてはいなかった。
「ですから御安心を」
「はあ」
「それでですね。お仕事ですけれど」
「クリスマスですか」
「そうです。まる正午に千葉マリンスタジアムまで来て下さい」
「マリン球場に!?」
「あそこが一番風がいいですから」
マリン球場は浜風がかなり強いことで有名だ。熱狂的なマリーンズサポーターと並んでその浜風は千葉ロッテマリンズにとって大きな味方となっている。
「ですからあそこです」
「冬のマリン球場って」
「言っておきますがビッグエッグではありませんよ」
「あんな場所別にいいですから」
彼は実はロッテファンだ。だが巨人はリーグが違えど嫌いだ。理由はないがとにかく嫌いなのである。その会長がとりわけ嫌いだ。
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