31話 『蒼き力』
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────限りない[空気の水]の膜に守られ、海底神殿に潜入したランク、シファ、ビル、ルーネス、レフィアの5人は青暗い中、ふと現れたほのかに白く発光しているかのような一匹の白銀の長い髪の人魚に、言葉は交わさずいざなわれる形で最深部へと辿り着く。
……そこには、六角長形の大きな水のクリスタルが祭壇に祀られていたが、その輝きは黒ずみ失われていた。
『 ────── 』
「"お前……、オレに[空気の水]をくれた人魚なンだろ?"」
シーフのランクが話しかけるも、人魚は美しい後ろ姿のまま振り向かず黙っている。
「"し、シファさん………あの人魚さんの髪型と色、マゥスンさんにそっくりでスね"」
「"そうだね……、後ろ姿追いかけてきたから正面はまだ見てないけど、顔も似てたりするのかな……?"」
そのように思えてならないビルとシファ。
「"何でしゃべってくんないんだ? つーか、こっち向いてくれねーかなぁ"」
「"あんた下心見え見えね、そんなに人魚の上半身見たいわけっ?"」
男子ルーネスの思考に呆れるレフィア。
「"他の、人魚達はどこなんだ? それに水のカオスのヤローは────"」
『ダメ、離れて……!』
人魚が振り向き様ひと声上げたその瞬間、水のクリスタル祭壇の影から幾つものうねった触手が現れ、5人の胴体を絡め捕った。
《ゴクロウダッタナァ、えまヨ……!》
真っ青な触手だらけの巨体が姿を現し、その際エマと呼んだ人魚も共に捕らわれた。
《ワレコソハ水ノカオス、クラーケン……。待ッテイタゾ、水ノクリスタルノ欠片ヲ司ル者……!》
醜悪な顔つきのクラーケンは触手に捕らえた者達をギリギリと締めあげる。
『ごめん、なさい………あなた達をあざむくつもりは──── 』
「"大方、そうでもしねェと他の人魚キズつけるとか云われたんだろ。……視界わりぃが、よく目を凝らしてみりゃ分かるぜ"」
ランクの云うように周囲をよく見ると、半透明で球体の[泡の檻]のようなものに多数の人間達が個々に捕らわれているのが辛うじて見てとれる。
「"やらしい事してるじゃないの……、そんな奴にはあたしがお仕置きしてあげるわ!───<サンダガ>!!"」
触手に捕らわれていながらも赤魔道師のレフィアは雷属性の黒魔法を放ち水のカオスに喰らわせるが、海中のせいか電流が他の者達にも伝わり少々味方もダメージを負ったとはいえ、触手から5人共解放される。
「"すす、すごいでスねレフィアさん………黒魔道士顔負けでスけど、ボクらまでちょっとシビれちゃいまシたっ……"」
「"大丈夫、わたしがすぐ回復するから……! <ヒーラ>!"」
白魔法を唱えて皆を癒すシファ。
「"
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