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mechanized infantryman 〜魔を討つ機兵〜
魔王の復権

[8]前話 [1]後書き
これは魔王軍が出現する約3年前の話である。

かつての勇者と魔王の最終決戦で一部を残し崩壊した魔王城はその姿を取り戻していた。

その最上階、魔王の間にある王座に"彼"は座ってした。

どす黒くざらざらとした皮膚、異常に発達した犬歯、20m以上はある巨躯、そして睨むだけで人を殺せるのではないかと思えるほどの眼光、明らかに他の魔物とは違う。

そう、彼こそが魔王だった。

彼は城のバルコニーに出る。彼が見下げると一面に無数の魔物が群れを成し、魔王を見上げているのがわかる。

「かつて、先代魔王…私の父が勇者に討たれ、我々魔物は胆を嘗めつづけることとなった。だがそれもこれで終わりだ。今こそ臥薪嘗胆の時、1000年前の無念を晴らす時だ。諸君、私に力を貸してくれ。人間を討ち、我々の復権を成すのだ!!」

今、この魔物城にいるのは先代魔王の落とし子であり現魔王だった。

(父上…あなたの夢を…魔物が自由に暮らせる世界を、私は作ってみせます!)

先代魔王は虐げられてきた魔物たちを憂い、自由を獲得するために蜂起した。だが勇者に魔王が討たれてから魔王軍の統制は一気に瓦解、8割以上の魔物が人間に殺され、生き残ったものたちも人間の手が及ばない場所に逃げることを強いられた。

そして1000年以上の時を経て、魔物たちはかつてほどの勢力を取り戻した。中には長い月日の間に強力な進化や変態を遂げた魔物もいる。

魔王はこれらを率いて先代のように蜂起した。


そして3年の月日が過ぎていく。

魔王の軍勢の進行はガーランド帝国を除けば快進撃ともいえた。中には壊滅的な打撃を受けた国家もある。

各国から派遣された勇者も何人も討たれ、戦意が定価した軍もある。

しかし、ガーランド帝国だけは違った。

ガーランド帝国は多数の新兵器を戦線に投入して莫大な戦果をあげていった。

海の魔物は戦艦や巡洋艦、駆逐艦、潜水艦に次々と討たれ、陸では歩兵の銃が火を吹き、MIが大型の魔物を易々と屠っていく。空から攻めれば対空砲の餌食になっていく。

もはや戦力差は圧倒的だった。

そして魔王はガーランド帝国への進行を中断し、他の3国を攻め始めることとなった。

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