狂った宴の後に
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腹の補充は十分か……。
絶望の道への覚悟は万全か……。
安穏とした場所を頭から追い出せたか……。
抗うに値する心力は足り得るか……。
心の内で問いかけて、あたしの食べ物達をじっと見つめた。
恐れ慄く視線は次に命じられる事が何か分からないから。きっとそう。
自分達が何をさせられるのか、どんなえぐい殺され方をするのか、死とはどんなモノか、あらゆる感情が渦巻き生きようなどとはもう思えないに違いない。
考えるだけが最低だとかバカみたい。それを迷うことなく出来るから、あたしも夕も袁家も外道で非道で悪辣なんだ。
華琳様も秋兄もそうなれるし、綺麗事ばかりの優しいだけの人間たちとは全く違う。だからこそ“覇王”で、だからこそ“黒き大徳”。
罪があろうとなかろうと自分の世界を作るために女子供であろうと生贄に捧げようなんて、そんなこと命じられるのはあの二人以外に居ない。
あたしの心は、二人の理解者を得たことで悦んでいた。
悲鳴が好き。
断末魔が好き。
脈打って消える命が好き。
瞳から光が絶えていくのが好き。
いつもはそう。ずっと前からそれでお腹を満たして来たのだ。
他者が死の瞬間に上げる生への渇望が食べたくて食べたくて……自分に足りないモノを埋めたくて埋めたくて……そうして一時的な充足に浸って来た。
でも――
――ああ、やっぱりダメだ。人間の絶望が好きで堪らないのに……
お綺麗な言葉を並べて生かそうとする輩には反吐が出る。
綺麗事で諭されて怨嗟を忘れる奴等にも虫唾が走る。
其処にあった想いを無碍にするクソ共だけは許せない。
それだけは越えてなかった。悪感情だって大切な想いに違いないのだから。
人間の想念はあたしの餌。
秋兄の言う想いの華ってのは言い得て妙だろう。紅揚羽なんて可愛らしい二つ名を付けてくれたのだから、大好物で生きる糧。
憎しみなんて忘れちまえ……なんて秋兄は言わない。
そんな事をして何の意味がある……なんて華琳様は言わない。
真っ直ぐに受け止めてくれるから、あたしは二人の所で戦える。
こいつらを見て見ればいい。人は醜いモノだ。例え綺麗な部分を持っていようと、人間は醜悪な姿をも宿している。
人の本質は善悪の別なく曖昧で、強さも弱さもそれぞれで、傾くきっかけは何処にでも転がっている。
綺麗な部分だけを優先すれば、いつしか耐えられないモノが出てくるだろう。罰があるから人は納得して前に進み、報いを受けさせないと澱みが溜まり続ける。
優しくあれと願って生きれば、皆も変わらずついて来る……くだらない、下らない。それが出来ないから力を振るっているのだろうに。矛盾する発言をしていいのは、殺される覚悟を以って、人の醜さを
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