狂った宴の後に
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言ってたように……秋兄も華琳様も自分の為だけど自分の為じゃない。それが綺麗で、羨ましい。忠義とか思いやりとは全く違うただの傲慢な押し付けでありながら、自分勝手に他人を愛してやまない。
世界を変えたいってのはバカらしいけど、あの二人は心の底から願ってる。手を繋ぐだけでは世界なんざ変わらない……そう知ってるから。
――輪を広げるってのはあるけども、それは綻びが出ないと思い込んでる甘い人間だけが妄信してればいい。曹操軍は華琳様が崩れれば二つに分かれるし、劉備軍は神輿が死ねば暴走するし、孫策軍は孫の血が途絶えれば消え失せる。壊せるモノを壊すのが乱世で、隙を突くのは当然のこと。ほら、他と手を繋いでなんかいられない。
後継を作って血に頼るなら才あるを優先するに至らず、理想幻想の標を失えば人の欲は抑えられず、血が途絶えれば他の才に頼らざるを得ない。
まだマシなのは今の曹操軍だけ。秋兄の身の振り方で安定させられて、壊れない可能性は十分にある。
矛盾だらけの中に潜むあの人が、イカレたままで民の平穏を作り上げるだろう。あの人にはそれしかなくて、曹操軍に残される道もそれしかない。
真っ直ぐ狂ってるから怖い。けど、華琳様と同じ先を見てるから皆は共に戦うのだ。春蘭達と秋兄の間にあるのは絆か信頼か……否、きっとそんなありきたりな言葉で表せるモノじゃなくて、なんか違う。あたしも同じように感じてるからさ。
考えつつ、苦笑が漏れ出た。
――別に、あの子達とのくだらない時間も悪くないんだけどね……。
バカな春蘭と姉バカな秋蘭はなんだかんだで優くてお互いに別種の気遣い上手で。
テキトーな霞姐は戦狂いだけど悪戯好きで、憎しみの大切さを知ってるいい人だし。
真面目な“なぎなぎ”ときゃぴきゃぴしてる“さわわ”と絡繰り変人な“まおまお”はそれぞれが弄り甲斐があって面白い。
季衣っちと流琉たんはちっちゃい春蘭と秋蘭みたいで抱きしめたくなるけど、子供だからか純粋過ぎてちょっと眩しい。
“ふーりん”は夕みたいに鋭いのに緩くて、抱き締めさせてくれるからそのうち抱き枕にしよう。
“りんたん”は桂花とは違った味のあるツンケンさで愛らしい。可愛く呼んだらツンとしつつ照れて、ちょっと誘うだけで鼻血出るけど。
朔にゃんも抱き枕にしよう。なんだかんだであたしと同じあの子は寂しがりだから。
えーりんも桂花に似てるけど、口から毒をあまり吐かないからちょっと物足りない。弄り甲斐はあるけども。
ひなりんは……ちょっとずるいや。あの人の一番近くって場所がどれだけ幸せかを、本当の意味で分かって無い。
――んで秋兄はー……あ、ダメだ……秋兄の緩いの移ったかも。
変なところに向かい始めた思考を切って捨てて、頭をふるふると振るった。
無駄。
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