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Transform! And we go ahead to the tomorrow…
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「お願いです、ミッチさん!
城乃内さんを助けに行ってあげてください!
あのロックシードがあればできるんですよね!?」

 ドクンと心臓が音を立てる。
 誰かのために戦う…かつて己のエゴで大切な人を全て犠牲にしてしまった光実にとって、それは呪いの言葉だった。
 卯月から目をそらし、気まずそうに一歩下がる。

「…僕には…無理だ」

「どうしてですか!?」

「僕には…誰かの為に戦う資格なんてないよ…」

 驚くほどに冷たく、無機質な声で、独り言のように、光実は小さく言葉を零す。
 だがそれは同時に、千の言葉よりも深い意味を孕んだ、ハッキリとした拒絶の意思であった。
 
 あまりの事態に、なんと返せばよいのかも分からず卯月は何度も口を開いては、言葉が見つからず虚しく口を閉じることを繰り返した。
 やがて、一つの答えに辿り着く。

「だったら…だったら私が戦います!」

「――っ!」

 今度は光実が息を呑む番だった。
 見開かれた目で卯月をまっすぐ見つめ、彼女の真意を問う。
 卯月は視線を一度落とし、続けた。

「私…誰かの笑顔を見るのがすっごく大好きなんです。
今回のイベントでも、スタッフさんやビートライダーズのみなさん、それに凛ちゃんや未央ちゃん…それにプロデューサーさん。
みんなが悲しんでいる誰かを笑顔にするために頑張っていました。
でも…今、それが壊されそうになってるんです!
もうこれ以上、あんな人のために誰かの涙を見たくないんです!」

 言うが早いか、卯月は光実のポケットから、強引にロックシードを引っ張り出し、それを大切そうに両手で抱えた。
 だが、、光実の視線は奪われたロックシードではなく、むしろ、奪った卯月の手そのものに向けられていた。

「(手が震えてる。やっぱり怖いんだ…)」

 ロックシードを握る卯月の手はかすかに震えていた。
 目を凝らしてよく見ると、顔色もどこか蒼白になり、足もすくんでガクガクと震えている。
 それでも、その手に握ったロックシードを放すことだけはなかった。

「(ああそうか。この人は…紘汰さんと同じなんだ…)」


***


 どうして紘汰さんはまだ戦おうとするんです?

『何だよ? いきなり』

 世間では、僕達ビートライダーズはすっかり悪者です。街の人を助けたところで報われる事はない。そんな戦いに、何の意味があるんですか?

『報われるかどうかは関係ないだろ。やらなきゃならないから戦う、それだけだ』

 でも、紘汰さんがそこまでする必要なんて無いじゃないですか。

『戦う力を持ってるのに何もしないなんて、俺には無理だよ』


***


 どうして戦うのか――かつて、光実は鉱汰に
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