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Transform! And we go ahead to the tomorrow…
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のように…。
 
 開発都市である沢芽市に、人がいない。
 たったそれだけのことが、これほどに不気味な雰囲気を放つことに、なんとも言えない不安な気持ちになる。

 …まさにその時、1匹の獣が彼らを狙っていたことにも気づかないほどに−ー。

「こんなところにもまだ猿が残っていたか。一匹たりとも逃がさんぞ」

「貴方は…?」

 その獣は、少女の姿をしていた。
 プロデューサーの問いを遮るように、少女の周囲に黒い小さな影が集う。
 影はやがて1つの大きな塊となると、その姿を醜悪な昆虫のそれへと変化させた。

「なにあれ…!? イナゴ!?」

「まさかこんなことが…」

そのあまりに非現実的な光景に、誰も動くことができず、完全な金縛り状態に陥ってしまう。
対照的にイナゴ怪人は、一歩、一歩と確かな殺意を纏ってこちらへ向かっていた。

 逃がせ。
 今すぐ彼女たちを逃がさなければ殺される。
 プロデューサーの頭の中に、最大音量で警報が鳴り響く。

 プロデューサーは拳を握りしめ、三人の前に立った。

「私がなんとか時間を稼ぎます。
三人はその隙に逃げてください」

「そんな…そんなのできるわけないじゃん!」

「お願いします、みなさん。
おそらくこれが、私からの最後のお願いです」

 プロデューサーがイナゴ怪人に掴みかかる。
 だが相手は正真正銘の怪物。いくら大柄なプロデューサーといえども、為す術もなく殴りとばされてしまった。

「どうした? もっと私を楽しませてみろ!
貴様が死ねば、次はあのガキ共の番だぞ!」

 イナゴ怪人が立ち上がる間も与えずにプロデューサーを踏みつける。
 ぐっと気管が詰まり、息がこぼれた。
 苦痛に顔を歪めながら、それでも3人を見上げる。

「みな…さん。はやく、逃げ…」

「プロデューサー!」

「いや…誰かプロデューサーさんを助けて!」

 卯月の涙でぼやけた視界に、黒い影が映る。
 何とか頭を動かして、影へと視界を動かす。
 茶髪から覗く鋭い目に、妙に気取った眼鏡が掛かっている。
 それは、洋菓子店シャルモンのパティシエ見習い…城乃内秀保だった。

「ウッチー!?」

 シャルモンで凰蓮に殴られ、もだえていた彼とは同一人物とは思えない鋭い眼光は、まっすぐに謎の少女へ向けられていた。
 イナゴ怪人になぶられるプロデュサーと、そのあまりにも痛ましい光景に涙す少女達の姿に、城乃内は001の数字が当てられたロックシードを握る手に力が込められるのを感じた。

「好き勝手やってんじゃねぇ!! 変身!!」

『マツボックリ!』

「(初瀬ちゃん…!)」

 城乃内が錠前をベルトにはめると同時に上空にクラックが現れる
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