4部分:第四章
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第四章
「これもじゃ。幻ではないぞ」
「くっ・・・・・・」
「言った筈じゃ。人にわらわは倒せぬ」
その火の玉を必死にかわる維茂に対してまた言う。
「決してな。さあ、覚悟せよ」
「生憎私は諦めが悪い」
火の玉が一旦終わったところで構えなおしてまた言うのだった。
「この程度で諦めるとは思わないことだな」
「ではどうするのじゃ?」
「手はまだある」
そしてこう言うのである。
「まだな。それを今から見せよう」
「むうっ!?」
「受けるがいい」
そう言いながら懐に手を入れる。そしてあの小刀を出してきた。
「これなら。どうだっ」
左手に持ちすぐに投げる。それは一直線に紅葉に襲い掛かる。
その速さはさしもの紅葉といえどかわせるものではなかった。そして。妖術が通用するものでもなかった。小刀は彼女の喉に深々と突き刺さったのであった。
「ぬう・・・・・・」
「やはりこれはかわせなかったな」
小刀を放った維茂は静かに述べた。
「この小刀だけはな」
「まさか。人の刃がわらわに突き刺さるとは」
「これは唯の小刀ではない」
用心の為に再び構えに戻って紅葉に告げる。
「これはな」
「では何じゃ」
呻きつつ維茂に対して問う。
「この小刀は。この痛みを与えるものは」
「小烏丸」
小刀の名を告げた。
「これがこの小刀の名だ」
「これがか」
「そうだ。我が平家に伝わる降魔の小刀」
苦しむ紅葉に対して告げる。
「これがな」
「むうう・・・・・・ぬかったわ」
「貴殿の罪、これで清められる」
見れば紅葉の顔が変わってきていた。それまで恐ろしい鬼の顔であったのが今では最初の美女のものに戻っていた。人の顔に戻ってきていたのだ。
「大人しく成仏するのじゃ」
「誰が・・・・・・」
しかし紅葉は維茂のその言葉を受けようとはしなかった。
「誰がその様なことを」
「無駄だ。その小刀は鬼や邪なる者を滅するもの」
まだあがく紅葉に対して厳然と告げる。
「それを喉に受けたならば。貴殿とてな」
「わらわは誓ったのじゃ。第六天魔王に」
最後にこの名前を口に出してきた。
「この国を滅ぼし、恐怖で塗り潰すとな。それでここで滅するわけにはいかぬのだ」
「これも運命だ」
また維茂は厳然と告げる。
「諦めるのだ。最早な」
「誰が・・・・・・誰がその様なことを」
紅葉の姿が消えようとしていた。まるで煙の様に。しかしそれでも彼女は何とか生きようとしていた。それは恐ろしいまでの執念であった。
「わらわは・・・・・・わらわは」
だがそれももう終わりだった。遂に紅葉の命は尽きその姿が消え去った。消え去ると同時に無数の紅葉の葉が舞い小烏丸はその中に落ちた。
「終わりか」
維茂はその舞
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