第1話 転生
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してもう一度あの地獄へ放り込む気だ。
そんなのごめんだね。
「一応言っておくけど、拒否権と言うのは無いからね。僕が上司に怒られてしまうからさ」
そう言ってまた紅茶を飲むグレイスさん。
何だかどんどん話が膨大になっている気がする。
「どこの世界に行く、どんな容姿になるかは全てランダムだ。でも、きっと何処かに君を信じてくれる人がいる筈さ。人間は一人では生きていけない。漢字でもそうさ。人と人が支えあって『人』になるんだからね」
喋るだけ喋って、私に有無も言わさない勢いでグライスさんはこう言った。
「それじゃあ、転生をするよ。君の次の人生に幸あらんことを」
じゃあね、と、そうグライスさんは言った気がした。
徐々に遠退いていく私の意識。だんだんと薄くなっていく私の身体。
三秒経過したところで、私の記憶は途切れた。
・・・
ズキリ、私の意識は痛みと共に覚醒した。
目を開けると、私はグレイスさんと同じ金髪青目の女性に抱き抱えられていた。
「『デイダラ』…それがあなたの名前」
「あう…あー?」
喋ろうと努力してみるが、どうにもならない。と言うか今の私はどんな体になっているんだ?腕も小さいし首もあまり動かせない。これが赤子の体なのか。
「ほう…意外と元気な子じゃぜ」
「土影様!」
ふわふわと”浮いて“きたお爺ちゃんは土影様と呼ばれているらしい。様、がついている辺り、偉い人なのだろう。でも、どうせこの人達もあの両親みたいに途中からイライラしたりしたら殴ってきたりするんだろう。私はそういう人しか知らないからな。
「ワシはオオノキじゃぜ。よろしくな、デイダラ」
「私はデイダラのお母さんで、ユリっていうのよ。それでね、あなたのお父さんはイワキって人でね?デイダラが産まれる前に天国へ行っちゃったの」
少し悲しそうな顔をするユリという女性。
そうか、私の父にあたる人はもう亡くなってしまったのか。でも知らない人だしな。わからん。
「これからよろしくね、デイダラ」
今度は満面の笑みで私に言うユリさん。
うん、そうだな。考えといてやるよ。あんたらが前の両親みたいに裏切らなかったらな。
やけにあっさりと、そして疑い深く私の新しい人生は始まったのであった。
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