第三十三話 罪と罰
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この聖杯戦争は忌むべき存在であった。
七名のプレイヤーが、何の説明もなく参加させられ殺し合う。
サーヴァントという強力な従者を従えていても、他のプレイヤーよりも死ぬ確率は数段高い。
そして、彼の近しい二人の少女がこの殺し合いに参加している。
一人は共に志を合わせて聖杯戦争を生き残ろうと誓っている。
だが、もう一人は彼を拒絶し、殺し合いに積極的に参加しているのだ。
キリトは激しく後悔した。
何故、彼女の前からもっと早く消えなかったのか。
何故、彼女から離れてしまったのか。
そうすれば、彼女はこのふざけた戦いに参加もしなかった。
自責の念に駆られた。
自分に全ての罪がある。
そう頭から離れなかった。
そして、その断罪の刃が今まさに振り下ろされようとしている。
きっとこれは罰だ。
彼女を……サチを、黒猫団の皆を巻き込んだ罰なのだ。
キリトはそれを受け入れようとしていた。
セイバーが叫んでいるが、もうキリトの耳には届かない。
彼は静かに目を閉じ、刃が体を両断するのを静かに待った。
…………
おかしい。
来るべき衝撃がいつまで経っても来ない。
閉じられていた目を開け、顔を上げる。
すると、衝撃が来ない理由がすぐに分かった。
少女がキリトに背中を向けて立っていた。
しかも、ただ背中を向けているわけでは無い。
Pohの愛剣、│友切包丁《メイトチョッパー》を逆手に持つソードブレイカーで受け止めていた。
「Ha?」
Pohが思わず間抜けな声を上げる。
珍しく戸惑ったような声色だ。
「……剣を収めなさい」
少女の冷静な声が彼らの耳に届いた。
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時を同じくして、ランサーとアーチャーの戦いも意外な結末を迎えていた。
突如として鳴り響いた轟音。
何かが二人の間に割り込んできたのだ。
ランサーはその場から、バックステップで距離をとる。
爆心地からは煙が立ち込め、姿が確認出来ない。
その場に居る全員が、警戒をしながらその姿を現せるのを待つ。
そして、一陣の風と共に煙が晴れた。
全員が、その乱入者を見て驚愕する。
「……ライダー」
アーチャーの静かな呟き。
二頭の雄牛に引かれた戦車に乗っているのは、全員が過去に一度会っているサーヴァントの内の一体、ライダー。
その彼がまたしても戦闘に乱入してきた。
ランサーは怒りの表情を浮かべ。
アーチャーは疲労から来る虚ろな表情で。
アスナは驚きが重なりすぎて、どのような顔をすればよいのか分からない様な表情をしていた。
だが、当のライダーは以前のような砕けた表情をしていなかった。
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