第三十三話 罪と罰
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自分の上から蹴り飛ばすと、セイバーはすばやく立ち上がった。
「ぐう……」
しかし代償はでかい。
手にかかった衝撃で両手が軽く麻痺している。
「はあっ!!!」
セイバーの打ち込みを、バーサーカーは流水のように洗練された体捌きと華麗なる剣技で逸らす。
更に体を入れ替えたことで生まれた隙に、刺突が付きこまれてくるのをセイバーは体を捻って何とかかわした。
今のは不味かった。
避けていなければ死んでいた。
「お、おおあああ!!!!!」
更にセイバーは怒涛の如く攻め立てるが、不可視の刃がバーサーカーの体を捕らえる事は無い。
まただ!?
セイバーは内心の焦燥と焦りを抑えられなかった。
自分の剣が完全に見切られている。
この男は、バーサーカーのクラスで呼ばれなくても十分に強い戦士だ。
自分の知る限りにおいて最強の使い手だ。
だがそれだけではない。
それだけでは説明できない何かがバーサーカーにはある。
ただ手練と言うだけでは、ここまで自分の剣が通じない理由にはならない。
バーサーカーと初めてまみえた一戦……あの程度の戦いで見切られる剣ではないという自負はある。
やはりバーサーカーは、自分の剣を以前から知っているのだ。
気が付けば、セイバーの体中に無数の傷が付けられている。
対するバーサーカーには目立った傷がほとんど見当たらない。
以前とは間逆の立ち位置だ。
優勢なのはバーサーカー。
劣勢なのはセイバー。
「ク……」
キリトの焦りの声が響く。
「どうだ、黒の剣士。スゲェ戦いじゃねぇか。まるで俺達がやってる事がガキのママゴトのようだ」
キリトの耳に不愉快な声が届く。
その方向へ目線を映す。
「Poh……」
「そんな顔すんなよ、黒の剣士。同じマスター同士じゃねぇか」
Pohがいつの間にかキリトのすぐ近くまで近づいていた。
「こんな戦いを間近で見れるとはLUCKYだと思わねぇか?マスターに選ばれた俺達だけの特権だ」
「悪いが、俺には思えない。こんな狂った殺し合い。」
これはキリトの本心だ。
初めこそ、キリトはセイバーを優れた相棒として戦ってはいたが、攻略を進め、他のサーヴァント達との戦いを繰り返していく内に、キリトはこの聖杯戦争という儀式にある種の憎悪を感じていた。
勝手にマスターとして選ばれ、殺し合いを強制される。
こんな事、普通の人間なら拒否して当然だろう。
「Huuu。つれねぇな黒の剣士」
Pohはそう言うと、右手に下げていた│友切包丁《メイトチョッパー》を眼前に突き出し構えた。
「……」
それと同時にキリトも背中から剣を抜く。
眼前に佇む憎悪すべき対象に切っ先を向
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