第三十三話 罪と罰
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ランサーと、アーチャー。
以前の二人の戦いは、互いが互いに決め手を得られない拮抗した戦いになっていた。
今回が二度目となる二人の対決。
一度でも戦った事がある以上、二人は互いの攻め手、守り手を理解しそれを崩すための戦いを行うはず。
しかし。
「グッ!」
アーチャーが双剣を交差しながら、後方へと吹き飛ばされた。
両手に持っていた剣もそれと同時に、根元から砕け散る。
「オラァア!!」
その隙を見逃す事をランサーはしなかった。
一気に間合いを詰めてくる。
「チィ」
辛うじて、投影に間に合ったアーチャーは双剣で槍を防ぐが、何合か切り結ぶうちに直にまた砕け散った。
このような戦いが、さっきから何度も繰り返されている。
「(……おかしい)」
だが、アスナはその状態に違和感を感じていた。
「(ランサーの実力は知ってた。バーサーカーを簡単に撃退するほどの実力)」
そう、アスナは以前見たランサーのスピードは眼にも止まらない速さでバーサーカーを撃退。
現時点でのパラメーターは、おそらく全サーヴァント中トップクラスであろう。
そして、以前のバーサーカーと同等の速度でアーチャーへと槍を繰り出してくる。
ステータス上は、全体的に見てもランサーの方がアーチャーを凌ぐであろう。
だからこその圧倒的な展開。
でも……。
「(ランサーは、なんであんなに鬼気迫るような戦い方をしているの……)」
アスナが違和感を感じたのはそこだ。
ランサーの戦い方は、実力に差があっても決して手は抜かずそれでいて自らも楽しめるような戦いを行っていた。
今回は手を抜いていないのは分かる。
だが、肝心のランサーが楽しむような戦いをしていない。
一つ一つが確実にアーチャーを仕留めるための一撃。
まるで、早く勝負を終えたいような。
そんな感じの戦い方だ。
「グッ……オォ――――――――――――」
また、アーチャーの双剣が破壊される。
それと同時に、体をふらつかせ態勢が崩れた。
この打ちあいの中で、相当の疲労と精神力を削られているのは明らかだった。
「これで終わりだぁ!!」
ランサーの槍が心臓を抉るべく、音速を超える速度で突き出される。
アーチャーの態勢は無防備に近い。
投影も間に合わない。
「……ッ」
アスナが声にならない叫びを上げる。
刹那の時を刻む事無く、槍はアーチャーの心臓へ到達する。
回避は不可能。
投影も間に合わない。
瞬時に悟った。
「アーチャー!!」
叫び声がその場へと響いた。
瞬間――――――――――――。
アスナの左手の令呪が、一画光を放った。
無意識的にアスナ
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