早速プロブレム。
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ろうか。
ドロポンでも使ったのか?
ちなみに使った魔術を聞くと、彼女は一言、『水球』と答えた。
何だと。
昨日使ったのと同じ魔術だ。
じゃあ、昨日と威力が違い過ぎるのは何故だろう。
最初見た時は茂みを揺らすだけに留まったのに、今回は倉庫を粉々だ。
どう考えても、同じ魔術には見えない。
そのことを聞いてみた。
彼女は顔面蒼白のままこたえた。
「杖の力もありますし、私自身が操作を誤ったのもあります。
間違えて魔力を少々込め過ぎてしまいました」
……何だろう。
何となく、アイリ先生の態度が、冷たい気がする。
言葉の端々に、硬い物が混ざっている、みたいな。
気のせいか?
いや、それよりも、この状況。
杖を持って倉庫に向けて『水球』放ち。
魔力操作をミスって倉庫を破砕。
これは本当に、ドジで済まされるのだろうか。
というか、今大切なのは、この惨事を引き起こした彼女を、両親が許してくれるのだろうか。
そこだ。
昨日会ったばかりの少女が、家の物をぶっ壊したのだ。
許されるのだろうか。
最悪解雇だ。
俺的に彼女には出来るだけここにいて欲しいが、時間の問題かもしれない。
多分昼頃には家族会議が開かれることだろう。
俺は静かに溜息を吐いた。
でも俺は、どんなことがあっても彼女を弁護すると誓おう。
────
急遽、緊急家族会議が開かれることになった。
メンバーは四人。
父さん、母さん、俺、そしてアイリ先生である。
皆は客間に集められた。
議題はもちろん、朝の事件について、だ。
「これから、第二回家族会議を開こうと思う。
司会進行は、このオレ、ラインが務める」
司会は父さん、らしい。
というか、二回目なのか。
第一回は俺が産まれる前にしたんだろうな。
いや、それはともかく。
父さんは続ける。
「さて、今朝の出来事についてだが、何が起きたのか具体的に教えてくれないか?」
彼は柔らかい態度で接してくれている。
まだ許容範囲なのだろうか。
いや、油断は禁物だ。
顔が少し険しい気がした。
俺とアイリ先生は、代わる代わる朝のことについて話した。
それを黙ったまま聞く父さん母さん。
少しは反応してくれよ。
話し終わった後、彼女は最後にこう付け加えた。
「私は、このことでどんな処遇になったとしても、仕方ないと思っています。
むしろ、こんなことをしてお咎め無しだと、私が納得出来ません。
私は、雇われている立場なのに、それをちゃんと弁えずに雇い主の物を破壊したのです。
もし私が逆の立場なら、許しません。
……
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