第二百十九話
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第二百十九話 石
今田先生はこの日の午前中は時間があった。それで今日子先生と一緒にお屋敷の庭で紅茶を楽しんでいた。
その中でだ、今日子先生にこうしたことを言った。
「ねえ、今度ね」
「今度?」
「華奈子ちゃん達にね」
穏やかな笑顔での提案だった。
「石を作ってもらおうって思ってるけれど」
「石?」
「そう、石をね」
それをというのだ。
「作ってもらおうって思ってるけれど」
「石っていうと」
石と聞いてだ、今日子先生は今田先生にまさかという顔で問い返した。
「賢者の石?」
「あっ、あれはね」
すぐにだ、今田先生は答えた。
「私達でも作られないし」
「そうよね」
「特別なものだから」
「錬金術の中でもね」
「だからね」
「あれじゃないのね」
「また別のものよ」
石は石でもというのだ。
「それを作ってもらおうって思ってるの」
「具体的にはどうした石なの?」
「奇麗な石だけれど」
「それだと」
今日子先生は今田先生の言葉にすぐに返した。
「何かね」
「わからない?」
「奇麗な石っていっても」
それこそというのだ。
「具体的には色々あるから」
「だからなの」
「そう、どれかわからないわよ」
「ううん、種類はいいの」
「とにかく奇麗な石をなの」
「あの娘達に作って欲しいの」
「そう、奇麗なね」
これが絶対条件だというのだ、しかし今田先生はそれ以上は今は考えていなかった。それで今日子背先生にも言うのだ。
「それを作ってもらうわ」
「種類はどうでもいいのなら」
今日子先生は首を傾げさせつつ答えた。
「幅は広いわね」
「ええ、何でもいいの」
奇麗なら、というのだ。
「それが絶対条件よ」
「一応わかったわ」
今日子先生も頷いた、だがここからさらに話を詰めていかねばならないことは二人もわかっていた。
第二百十九話 完
2015・3・14
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