第一部
第六章 〜交州牧篇〜
六十八 〜徐州へ〜
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す」
「ありがとう」
形式的な事だが、これで大義名分が立つ。
「彩、愛里、朱里。……行くぞ」
「はっ!」
「はい!」
「は、はいっ!」
斥候を放ちつつ、徐州へと進む。
州境には本来、警備の兵がいる筈なのだが。
「……いないわね」
「そのようだな」
放棄された、小規模な砦があるばかりで、人影は皆無であった。
如何に軍権のない刺史とは申せ、これ程までに統制がないとは。
「仕方ないわね。最寄りの村を探しましょう」
あくまでも、我らは加勢。
主導権は華琳にあり、それに従うまでだ。
尤も、そう容易くは判断を誤るとも思えぬがな。
「曹操様! 賊軍の一部と見られる集団を発見しました!」
そこに、華琳が放った斥候が報告に現れた。
「そう。数は?」
「はっ、凡そ三千と見ました!」
「本隊ではなさそうね。銀花(荀攸)、どう見る?」
「そうですね。徐州の兵が攻め寄せてこないのをいい事に、村を荒らしに出てきた……そんなところかと」
「あり得るわね。……他に、周囲に賊らしき集団は見当たらないか?」
「はい。念には念を入れ、伏兵の可能性も調べましたが」
「わかったわ。引き続き、敵情の把握に努めて。異変があれば直ちに知らせよ」
「ははっ!」
直立不動になった兵は、そのまま飛び出して行った。
「看過するには数が多いし、それに村を襲っているのも気に入らないわね。歳三、どうする?」
「私も、見過ごす手はない、と考えるが」
「なら、一気に殲滅させましょう。相手は何の主義もない、ただの獣。手加減は要らないわね」
黄巾党に属していても、その全員が救い難き存在ではなかろう。
現に、つい先日まで私に付き従ってくれていた者も大勢いたのだ。
……だが、首領である張角は既に亡い……事になっている。
にも関わらず、未だに黄巾党を称し、無辜の民を襲うとは言語道断。
華琳の言葉通り、獣と見なして討伐するしかあるまい。
「秋蘭。貴女の隊で、包囲して矢の雨を降らせてあげなさい。獣相手とは言え、精兵を無駄に失いたくないわ」
「はっ、お任せを!」
「弓兵の守りは私と銀花が引き受けるわ。歳三、貴方には賊共が混乱したら一気に突入して欲しいのだけれど」
「うむ。では彩、指揮を頼む。私は後詰めに廻る」
「承知!」
「朱里、彩の補佐を任せる。愛里は私の傍でよいな?」
二人は、しっかりと頷いた。
「はは、華琳様にかかっちゃ、私も出番なしですね」
「あら、銀花。私はそうは思わないわよ? ただ、この程度の相手に、貴女の智謀は勿体ない、それだけの事よ」
作戦としてはかなり大まかだが、罠の可能性が考えられぬ以上、特に問題はあるまい。
「では張コウ殿。旗を合図に突入を。宜しいか?」
「承った、夏侯淵殿」
ふ
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