第一部
第六章 〜交州牧篇〜
六十八 〜徐州へ〜
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斥候から知らせが入った。。
「土方様、見えました!」
彼方で、砂塵が上がっている。
「旗印は見えるか?」
「……『曹』の字。間違いありません、曹操軍です!」
「よし。此方も旗を掲げよ」
「はっ!」
よもや、牙門旗を此所で掲げる事になろうとはな。
「流石に早いですね」
「常に備えを怠らぬ、という事であろう。彩、我らの準備も良いな?」
「はい。いつでも出立出来ます」
と、数騎が此方に向かってくるのが見えた。
あれは……夏侯淵か。
「土方殿!」
下馬しようとするのを、私は手で制する。
「火急の時、馬上のままで良い」
「はっ! 華琳様も間もなくおいでになります!」
「……華琳が? 自ら率いてきたと申すか?」
「ええ。隣州の救援なのだから州牧自ら赴くべき、そう仰せでした」
「そうか」
程なく、言葉通りに華琳が姿を見せた。
引き連れているのは、荀攸に流琉か。
「こんなに早く再会する事になるとわね。やっぱり、歳三とは何かと縁があると思うのだけれど?」
「かも知れぬな」
「で、見慣れない顔触れね。良ければ、紹介して貰えないかしら?」
そう言いながら、華琳は愛里と朱里に眼を遣る。
「はい。私は徐庶、字を元直と申します。文官として、歳三さんにお仕えしています」
「は、初めまして。私は諸葛亮、字を孔明と申しましゅ!……あう、また噛んじゃった」
……朱里、何故慌てる必要があるのだ。
「貴女が徐庶ね? 歳三のところに、有能な文官がいるって聞いているわ。諸葛亮も、なかなか優れているらしいわね?」
「ほう。随分、我が陣営に通じているようだな?」
「当然でしょう? そうでなくても歳三のところには優秀な人材が集まっているもの。関心を持って当然よ」
相変わらず、人材と聞くと黙ってはおれぬ性のようだな。
「私は曹操、字は孟徳よ。よろしくね、徐庶、諸葛亮」
「あ、はい。こちらこそ」
「は、はい!」
「さて。輜重隊は確かに、陳留で預かるわ。流琉、警護は任せたわよ?」
「わかりました、華琳さま」
そう言えば、姿が見えぬ者が二人いるな。
「華琳。夏侯惇と荀ケは如何した?」
「ああ。春蘭は留守を任せたわ、盗賊の残党相手に武官を出払わせる訳にもいかないもの。あと、桂花は……」
はあ、と華琳は溜息をつく。
「……貴方を見ると、無闇に敵愾心を燃やすでしょう? 優秀な子なんだけど、流石に置いてきたわ」
「それで、代わりに荀攸、という訳か」
「ええ。伯母さんが一緒だと、その都度お仕置きしなきゃいけなくなっちゃいますからね。私はそれでもいいんですけど」
……荀攸、眼が笑っておらぬぞ。
「さ、行きましょう。貴方も、あまり時を費やしたくないでしょう?」
「うむ。ではこれより、エン州牧曹操殿に、我ら加勢致
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